苦労の記録114 ページ14
私は学校事情に疎い志賀に、学校のくだらない見栄と思春期の混沌たちを淡々と説いていく。
「この学校の女子は全員冤罪を擦り付けるプロだ」
「冤罪を擦り付けるプロ」
「抜け駆けの罪、男好きの罪、実は裏で悪口を言っている罪、男子と女子で態度が違う罪、」
「ちっっさ……」
「SNSで自分だけ地味に盛れてる写真を使う罪、連絡が遅い罪、空気が読めない罪、」
「まだあるんですか?!」
もういいですって!と、志賀はギブアップの姿勢を見せた。
「刑罰もあるのに」
「どこからそんな知識得るんですか……」
「そりゃ前の、……いや、漫画とか」
正真正銘、実体験からくる経験則である。なんせちょっと前まで現役JCだったのだから。
しかし、学校特有の閉塞感と隔離されたような空気は実際味わわないと分からないものである。これ以上志賀に説明しても効果はないだろう。
「まあ、とりあえず異性とはあまり関わらない方が得策ってこと」
「わかりました。じゃあ……Aだけにしときますね」
「それだけはやめろ」
「えッ」
コイツ、本当に学校に行ったことがないらしい。根本的なところで思春期学生の空気が理解できてないんだ。
「あのね、」
「大丈夫ですって、危害加えてきたら脅せばいいんですから」
Aは決めた。
こいつに『アオハライド』と『ヒロイン失格』、『あたしの!』を読ませようと。
「…………本題入る」
頭を振って、空気をまともにする。そもそも私が志賀を連れてきたのは、業務連絡である。
上からのメールが3時限目辺りに届いたのだ。
「いい?事前にも説明されたけど、私達は放課後、絶ッ対にバレないように会社に戻って、一日の経過報告書を出す。そんで、長くても3ヶ月内には…」
「首謀者を見つけろ、と」
「そゆこと。で、芥川龍之介の導入についてなんだけども」
私は携帯のメールを見て、改めて溜息を付いた。
届いて見た時もだが、これは本当に溜息もつきたくなるような思いになる
「ああ、確か明日からでしたよね」
それがどうかしましたか、と質問する志賀。学校のことといい芥川といい、まだ何も知らなくていいよなぁ此奴は。
「それなんだけど」
「?」
「なんか凄い拒否してて、めっちゃ暴れてるらしくて。
……今“太宰さんが説得中”で、1週間後になるって』
「ええ……生きて潜入できるんですか、その芥川ってひと……」
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メガネ第2号(プロフ) - かえる。さん» 返信激遅でごめんなさい、更新しました!コメント励みになります、遅筆ですがぜひ最後までお付き合い下さい。 (2022年8月28日 6時) (レス) id: 652442107f (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - やったー!更新してる!(≧▽≦) (2022年5月24日 21時) (レス) @page46 id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 望務さん» ひい!!嬉しいです。文章少し長くなったりしてうざったいかもしれませんが頑張って書きます!ありがとうございます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 紺さん» 前々から読んでいてくれていたんですね!出戻り嬉しいです、本当にありがとうございます!コメント励みになります、頑張りますね! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 小夜子さん» 返信遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます、他の作品も読んでくれているようで凄く嬉しいです!文スト4期公開楽しみに頑張ります! (2022年5月24日 20時) (レス) @page46 id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2018年7月3日 4時