最年少幹部部下となりました ３冊目

苦労の記録１１１ ページ11

時の流れは実に早い
あの後素早く制服やら教材が準備され、一週間後には転入するとの事だった。

そして今日が、その日である。

□


「席に着いて〜」


適当に言う怠そうな男の声のあと、きりーつ、と更に怠そうな男子の声も聞こえた
ガタガタ、と椅子が動き、礼、と言った後の着席の台詞は省略されていた。


「今日は前に言った通り転校生を紹介します」



その台詞を起源に教室が一気にざわめいた
うるせぇーー！と言いたくなる程だ

女子ですか？！
イケメン希望〜！
何言ってんの、えり彼氏居るくせにぃ〜
ちょ、言わないでよ！

成程、えりちゃんは彼氏が居ると。要らん情報まで聞こえてしまった。
１―５と書かれたプレートを見上げれば、私が此処に居るのだと少し実感が湧く



「はい入っていいよ橋本さん」

突然の死刑宣告、間違えた、入室許可に、戸惑いつつもガラリと扉を開ける

「失礼します」


──うおおお女子だキタコレ
──え、なんか、ちっさくね
──どこが？笑
───馬鹿、身長の話だよ


なんだかとっっても失礼な発言がヒソヒソと聞こえたが無視を決め込み、新品の上履きで教卓の横まで進む。
黒板に名前を書くコースでは無いのを察して、自ら名前を言う。


「──本日転校してきました。橋本Aです」


パチ、パチパチ…

静かに礼をした後、疎らな拍手が私を歓迎した。もっと本気出して拍手しろ。
じゃあ橋本さんは奥の開いてる席ね、と指定された席は窓際から二番目の一番後ろ。

がた、と慣れた手付きで鞄を机の横に掛け、席に座る。

さーて何事も無く今日が終われよ、と静かに過ごすことを決め込み、決め込んだ思いは次の瞬間ぶち壊された。


「宮ティー！」

髪を金に染め…地毛か？アニメだもんな、分からんけど、多分染めたであろう男子が手を挙げた。確実に陽キャである。


「一限って宮ティーの授業っすよね？ 橋本さんへの質問会に変えていーですか？」


わぁっとクラス中が盛り上がった
賛成賛成ーとか、授業じゃないなら何でもーとか、寝れるわぁーとか、…

巫山戯るな。私は溜まったもんじゃない。これだから陽キャは嫌いなんだよ。

だがそんな事言える筈もなく

「橋本さん、それでも大丈夫？」
「……はい、勿論！」

私にはにこりと明るく承諾する道しかないのだ。

───ああホント、トリップしてマフィアに入ったというのに、何でまた学校なんだ！

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