死後、第２ステージは横浜で。

死後のレポート２５ ページ25

「そこの太宰めが…」
「有能なる若者がいると言うゆえ、その魂の真贋、試させて貰った」



と、着物姿の男性─福沢諭吉─が凛とした声で喋る。
うひょわあああ社長じゃないすかあああ！！ニヤケ顔を必死に抑える私。変人？知らない



国木田さんに手伝ってもらい、窓の外から引き上げられた太宰さんが肩を竦めて喋る




「君を社員にするか、社内で揉めてね」

「社長、どうしますか？」



福沢さんは目を閉じ、暫し黙考。
何か目に決心を宿した後、


「太宰に一任する」

と、一言言った


「合格だってさ」




と、空気が緩んだ瞬間、わぁっと周りが少し喋り出す。なにやら色々やっている








皆がわちゃわちゃしてるなか、私はひとり呆然と突っ立っていた。そう、呆然と。





…えっと、私はただ本当に付き合わされただけ、と？何故？！おーい、此処はあるある展開で私も入れてくれませえええん？！
あーもう、やっぱりあの時これ演技ですよね、とか言っときゃよかったの？！




なんだこの仕打ち、と大いに色々期待していたのを一気に裏切られた気分で、思考が回っていなかった。



そんな軽い絶望の中私はもう帰ろうと口を開く


『…あの、私もう帰っても…？』


いいでしょ、ただの付き添いだったんでしょー！！と内心ヤケになる









そんな風に思ってる中、太宰さんは衝撃の一言
いやもう、ほんとに衝撃。






───「Aちゃんも、バイトの事務員さんで此処入るよ？」



あたかもきょとん、とした顔で言った




『…は？』


まず口をついて出たのはこれ
いやそうだろ、意味がわからない




『な、なんで…？』






心からの言葉を言うと不気味な笑顔の太宰さんは私に歩み寄って周りには聞こえないであろう声で一言言う。えっ近い、ちかいよ死ぬ









「それは君が一番分かってるんじゃない？」



ん？


…んん？


え、よく意味が…

戸惑っているとある考えがひとつ浮かぶ



『(真逆…)』



真逆私が探偵社入りたいって思ってたのバレてたの？！待て待て待て待て…え？
あいやでも太宰さんエスパーだわ、有り得るわ！！やべえどうしようああああ大丈夫大丈夫まだバレたとは決まってない

※この間０.1秒



あまりにもその一言が予想外すぎて
目を見開いてしまったのだ


まだバレていないという希望を捨てず、すぐに普通の顔に切り替える






『…どーいうことです？』


っよし誤魔化せた！もういいこれ以上この人と喋らないでおこう

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