苦労の記録38 ページ38
暇鳥との抗争日まであと一日。中也さんとの訓練を終え、帰ろうとした時、通り過ぎた部屋から物凄い音が聞こえてきた。
「(えっ、なに、何の音?!)」
ここでは拷問なんかもやるので偶に骨を削るような音まで聞こえたりするが、ここまで派手なのは珍しい。
丁度すぐそこの部屋で起きた音だったので、私は無駄な好奇心を発揮して、恐る恐る覗き込んだ。目に飛び込んできたのはとても痩躯な黒髪の少年……というか、あれは……、
「(えっ芥川じゃん!!)」
私は思わず両手で口を抑えた。初対面の原作キャラに内心興奮して、息を潜めて彼を観察すると、彼の姿がいたくボロボロなことに気付いた。服の裾は異能のせいか擦り切れており、血が滲んでいる箇所も多々ある。
「(……手当しないわけ?)」
見るだけで痛々しい姿は私をハラハラさせた。とはいえあの芥川だ、ここで無闇に関わったら何をされるか分からない……、とここまで考えて私の頭の中に革命が起きた。
「(待てよ?!逆にこれはチャンスなんじゃぁ……!!)」
【Aの頭に浮かんだIQ3の作戦】
『やっほー芥川先輩、手当したげる☆』
↓
「何故僕を助けた!」
『頑張ったねぇ、私は認めてるよ、君の事!』
↓そんなこんなで
「ふっ、おもしれ〜女。」
「(キタコレ!!!!)」
私の目が輝く。
ようやっと夢小説特有の展開が舞い降りたというのか!今までの自分に対する双黒の雑な扱いたちを思い出して目が潤む。これで私もヒロインの仲間入りってわけね、と調子づいたことを考えて、芥川の方へ近づいて行った。
この時の私は頭が狂っていた。私はなんて馬鹿なことをしたんだろうか、と後に悔やむことを知らずに、芥川に話しかけた。
「ねぇ、君も太宰さんの部下なの?」
ニコニコと余所行きの猫かぶり笑顔で芥川に話しかけると、彼の肩がピクリと動いた。
「貴様が……高橋…?」
ぜえはあとマラソンの後並に息切れを起こす芥川に、下心抜きで本気で心配をしはじめる。上げた彼の顔はやはり青白い。苦しげに私の名前を聞いてきたので、何も考えずに、『うん』と言いかけたその時だった。
──ドゴォオン!
私の頬の皮膚がピリッと短く裂け、血が垂れた。顔の横には黒獣。まさに間一髪で避けた、というのが正しい。Aは口を開けたまま唖然とし、目の前の存在から刺すような殺気を感じた。
「……貴様が……!太宰さんのッ!」
「(ミスった…………。)」
乙女ゲーならBADENDだ。
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時