苦労の記録37 ページ37
数日後、暇鳥殲滅まで残すところあと三日。
「高橋、手前この間の会議で何やらかした。」
地下3階の倉庫で中也さんとの訓練中、戦闘の合間にいきなりこんな事を聞いてきたもんだから、私は彼のクリティカルヒットな蹴りを貰った。腹を抑えて噎せながら、なんとか返事する。
「別に何も。」
「目泳いでんぞ。嘘下手か。」
『うるさいですねぇぇああ痛い痛い痛い!』
ボソリと文句を言ったところで頬をみょーんと力強く伸ばされた。健康的な歯茎だなとからかわれた所でバチン、と手を離される。
「……ちょっと揉めただけです。」
頬をさすってそう言えば、中也さんは私の方をじっと見て、そのあとため息をついた。怒られるかと思い肩がビクッと震える。
「まぁ、今回のは相手の方からお前に吹っ掛けたからいいけどよ。」
「え!器が大きい!」
まさかのお咎めなしに、私は中也さんの事をおだてた。イケメン!帽子が似合う!センスいい!と三拍子言ったところで調子乗んなと怒られた。
「あんま悪目立ちすんじゃねェぞ、太宰には知られてねぇみたいだけどよ。」
「それ本当ですか?!」
「太宰の部下であの場にいたのはお前だけだったからな。」
思わぬ朗報に飛んで喜ぶ。あのサイコパスには何をされるか分からない節があるから怖いのだ。
しかし安堵しているところに、中也さんに別の爆弾を投下される。
「そんなんより手前、三日後は初陣だろ?渡された立案書には志賀優哉の担当、お前だったぞ、なんかのミスか?」
「……………太宰幹部の、命令で。」
「はあ?!じゃああれは本当っていうのか?!」
絶望的な表情の私に本当のことだと察した中也さんは、大層驚いた。私だって嫌に決まってるしミスであってほしいくらいだ。抗争の日はもう近い、嫌な緊張感がここ最近はまとわりついて離れない。
そんな私の様子に、中也さんは心配をかけてくれた。
「無茶すんなよ。死にそうだったら……逃げてもいい、俺が責任とる。」
「そ、そこまでしなくていいです!そんな、だって、べつに、」
死んでもいいかもしれないですし、と続けようとした言葉はさすがに飲み込んだ。前の世界のことを思い出して、姉に会いたいなと少しばかり寂しくなって黙り込む。
「……まぁ、異能持ちなら望みはあるだろ、太宰も早々手前を殺すような真似はまだしないだうしな。」
「すいませんまだという言葉が無性に気にかかるのですが。」
太宰幹部を殴ってからじゃないと死ねない。
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時