苦労の記録48 ページ48
右足のふくらはぎが猛烈に熱く感じる
真逆、と思いそこを見ると
氷の刃が貫通していた
志賀が刃を抜く
その時にも熱さは身を焦がす
ごぼ、と往く場所のない血液が体内から流れ出す
地面に座り込む。やられた
刺されたのだ。
脳内でこれを理解した途端に襲ってくる激痛
今までのも傷もそれなりに痛かったが、ここまで深い傷は…前の世界も合わせて初めてだ
『…ぁ…ッ…う…!』
声にならない叫び声が出る
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
頭には之だけが羅列している
痛みで正常な思考回路など出てこない
前までは普通の、ただ少し優秀なだけの年端もいかぬ少女だったのだから
志賀がそんな私の様子を黙って見つめる
瞳には何も宿していない
強いて言うなら闇と怒りだけだ
「……」
志賀はカチャ、と音を立て刀を私に再度向ける。そして静かに刀を上にあげ、
振り下ろした
──キィン
だがその刃は肉を裂かず、
『…ふっ…う…!』
青く光る刃とぶつかるだけだった
冷めた声で志賀が喋る
「…まだ動けるとは思いませんでしたね」
『…っ』
もう喋る気力もない。
今持つ刀も少し気を緩めればずり落ちそうだ
痛いのだ。叫ぶのを一歩手前で我慢している
アニメキャラだったら、普通に喋れるのだろう
でも私は違うのだ
もう氷の塊からの傷も充分負っている
「…諦めたらどうですか」
志賀は平坦な声で言った
だがその言葉は私の心に深く刺さって。
遠くで私のひゅーひゅーした吐息が聞こえる
もういいでしょう?
頑張ったじゃん私
知らない世界の孤独の中。
『(もういいよ)』
──カチャン
手から刀がするりと抜ける
重力に抗わずその刀は地面に虚しく落ちて行く
「それが正解です」
志賀は再度平坦な声で言った
感情が無い
態と消しているのかは私にはもう分からなかった
志賀が刀の先を上に向ける
今度こそ、というようにそれを振り落としてきた
まるでその瞬間はスローモーションの様で。
私の息遣いも異様に大きく聞こえて。
ああ死ぬんだな
終わりを悟って静かに目を閉じた
□
□
□
ふと
瞼の裏に白い服の誰かが写った
暑い夏だった。回りに向日葵がある。
ふわりと焦げ茶の髪がなびいて、その人は此方を振り向く。綺麗な笑みだった
その人の唇が動く。
□
□
□
────A!
お姉ちゃん
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時