魔法使いに百合の花を。 (ページ2)

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第2話ページ2

桜も散り出す4月上旬。学院までの道に桜の花びらのシャワーが降っている。
まるで私たち新入生を祝福してくれているみたいだ。

花館学院は、一人前の執事やメイドを志す者の集まる学び舎だ。少年少女たちは寮で共同生活を送りながら、日々奉仕について学ぶことになる。

そんな学院に、めでたく私も仲間入りだ。

実は入学式は明日なんだけど、寮には前日から住めるみたいだから、楽しみで早めに来てしまった。人見知りだから、友達が出来るか心配だ…。でも、勇気を出して話しかけるぞ！

大きな荷物は全て、もうトラックで運んであるので、今は片手に持てる荷物に、身分証や財布、携帯が入っている。

「よーし、頑張るぞ…！」

これからの日々に胸躍らせているその時だった。後方から、勢いよく走ってくる人影に私は気づけなかった。その人影はぶつかって来てドンっと大きな音がする。

「すみませんね！」
「い、いえ…」

軽く謝罪してその人物は去って行く。ドギマギしながら、何気なくバッグの中身を見ると、なんとさっきまではあった財布がこつぜんと姿を消している。

財布、盗られた…？！