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「…は？」
目が点になる。
嵐が6人？
私がメンバーの1人？
「嘘でしょ…」
…冗談だよね？
一般人相手のドッキリの収録でもしてるのかな？
「Aマジでどうした？失神した時頭打った？」
松本さんが本気で心配している顔で、痛いとこない？と私の頭に触れた。
恥ずかしくて下を向く。
「だ、大丈夫です…」
「本当に？」
「……」
そう聞かれると不安になる。
「15周年記念でハワイでコンサートしたの覚えてる？」
櫻井さんに聞かれる。
ハワイでコンサート…。
「…ニュースで見ました」
「ニュースでってなんだよそれ」
「…すいません」
「他人みたいに喋んな」
「……」
「なんで俺らに敬語使うんだよ…」
松本さんが眉をひそめた。
なんでって言われても。
私、今までスーパーでパートとして働いてた普通の人間だよ…？
「ねぇ、その時Aもいたんだよ？…どうしちゃったの？」
「……」
「忘れちゃったの…？」
相葉さんが悲しい声で言う。
さっきまですごい元気だったのに、今にも泣き出しそうな顔に変わった。
…なんだか申し訳なくなってくる。
「…A？」
大野さんが言う。
「紅白の司会とトリをやったことは記憶にある？」
「実家で家族と見てました…」
「…嘘だろ」
温厚なはずの大野さんの顔が険しくなった。
しーん…と静まり返る楽屋。
それを切り裂くように。
「記憶喪失になったんじゃない？」
それまで黙ってた二宮さんが口を開いた。
その口調は他の4人と違って軽い。
記憶喪失って…。
私、嵐のメンバーの自分の記憶はもちろん無いけど、スーパーで働いてた自分の記憶はあるんですけど。
大野さんが二宮さんを見る。
「…ニノ？」
「だってA今までの記憶無いんだろ？記憶喪失になったとしか考えられない」
「…そっか。…そうだな」
「それに撮影まで時間はないんだ。さっき呼ばれたから。まさかすっぽかすわけにもいかないし」
二宮さんが私を見た。
「記憶が戻るまで、Aのことは俺らがフォローすればいい」
力強い目。
「Aも、記憶喪失だってことが周りにバレないようにしろ」
「……」
「今の俺らにはそれしかできない」
「…そうだな」
櫻井さんが頷く。
「よし！撮影行くぞ！」
「おー」
二宮さんが叫んで、大野さんがそれに続いた。
櫻井さんはちょっと笑ってる。
気持ちを整理したみたい。
相葉さんと松本さんはまだ少し迷ってる顔。
パートの私が本当の私のはず。
「……」
じゃあ今ここにいる私は、なに？
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作者ホームページ：http: 作成日時：2015年1月8日 8時
