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一度部屋に戻って水筒やらなんやらを持ち、ミヅキと共に練習室に行くと、シュントが地べたに座ってストレッチをしていた。
「あれ、マナトくんも来た」
「うん。1人じゃイヤみたい」
「まじか」
「寂しい人みたいな感じで言うのはやめなさい」
一応ミヅキから俺を誘ったんだよね?
って、シュントの前で言うのはなんだか気が引けた。
あれは合宿審査が始まって1日目だったか、ミヅキとシュントが食堂で2人でいるところを、レオくんとニコとで絡みに行ったことがある。
そん時初めてシュントが“みづ”と呼んでいるのを聞いて、俺達はなんかあるんじゃ無いかって勘ぐりながらも、あだ名でも付けたんだろうって言ってたんだっけ。
蓋を開けてみれば何かあるどころか、2人は幼馴染だった。しかも赤ちゃんの頃から一緒にいるとかいう、マジもんのやつ。
よほど仲が良いのか、1次がおんなじCチームだったってのもあって、合宿が始まってからほとんど2人は一緒にいた気がする。それこそ俺らが馬鹿みたいなコンビ名付けるくらいには。
「みづ、そっちのタブレット貸して」
「うん。」
「Move Onのやつリョウキくんに取られちゃった」
「そうなの?てかその靴下昨日も履いてなかった?」
「2つあんの」
「ふーん、あっ、ちょっと、やめてよ」
床に座ってシューズを履いているシュントが、タブレットを手渡しに来たミヅキの顔に向かって自分の足の裏を近付けて「はははっ」と笑っている。
女の子に対してやることじゃ無いなと思いつつ見守っていたら、「くっさ!」「んなわけねーだろ」…また喧嘩が始まった。
「マナトくんも嗅いでよ!臭くないでしょ」
「やだよ」
「嗅いでー」
「俺それ嗅いでどうしたらいいの?」
「食欲湧くんじゃないですか」
「ミヅキ…それまじでしんどい」
「すみません」
ミヅキはたまに、マジで女じゃねーなと思うような言動をすることがある。普通そんな発想に至るかな?どんな変態だよ。
Aチームではわりと俺がふざけ役だった事もあって、年下の、しかも熟年夫婦みたいなやりとりを繰り広げる幼馴染に、俺はどう加わっていけばいいか見失いそうになる。
「ちなみに俺は3日目」
「…………」
「聞くの怖いんですけど、なにが?」
ミヅキが恐る恐る聞いてきて、答えの代わりに自分の足元を見た。息を呑むミヅキ。「嘘であってくれ」と両手を合わせて天に祈るシュント。もちろん嘘だよ可愛いな。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時