第九舞『冷酷たる鎖枷』 ページ9
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最初に聞こえたのは銃声。
次に悲鳴、沈黙。
暗闇の中、アイザックの目は直ぐに慣れる為、冷静になれる。
これは何だ?強盗か?もしや…
「____全員伏せろ!早く!」
沈黙を利用し、一瞬の判断でアイザックはそう叫んだ。
自身は全ての客席に声が届くよう、立ち上がって。
まさに思った通りの最悪な事態になった。
今度は店の入口から、何十発もの銃声が聞こえたのだ。
「…ちぃッ、」
立ち上がって居たアイザックには、伏せる余裕は無く、銃弾を避ける他無かった。
自分の顔面に来た銃弾を、すれすれで避ける。
銃声の硝煙弾雨のせいで、探偵社の人が何を云っているか…全く聞こえない。
全ての銃弾を避け切ると、一旦銃声が止み、隙が出来た。
直ぐに自身の 左太腿裏に手を伸ばし、拳銃を取り出した。
銃は得意だ。この暗さでも…この距離ならば、
「…外す訳無いだろ」
アイザックが撃ったのは…たったの三発。閃光の如く輝く。
犯行に及んだ、計三人の手を銃弾で貫いた。
アイザックの表情に、慈悲は無い。
苛立ちを見せるアイザックは、また拳銃を構え、今度は仕留めようとする。
…こんな奴ら、早い内に仕留めた方が良い。
「駄目だよ」
____ふと響く、太宰の声。
…如何したものか。
先程まで軽かった身体が、鎖を繋がれた様に重くなったのだ。
太宰の声、ひとつで。
足が上手く動かない所か、引き金すらも引けない。
これでは…何をする事も出来ない。
怒りが治まり、感情が落ち着くと共に、次第に身動きが取れる様になった。
「短気だねぇ…落ち着いたかい?」
太宰がアイザックに近づくと、
「…俺に何した。あんたの異能かよ」
「何もして無いよ、私の異能は『異能無効化』ただそれだけさ」
異能の無効化、それに太宰と云う名前。
何か引っ掛かる。
「おい太宰、小僧!手伝え!」
いつの間に犯行の三人を縛り上げている、国木田と敦。
「あ…悪い、今行く」
太宰はアイザックの後ろ姿を見詰めた。
突然の暗闇の中での正確な判断、そして射撃の
敵に回したくは無い存在。
彼は常に、太宰が居る場所に共に居る。
「…流石は、番犬」
太宰は、深く溜め息を吐いた。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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