第四十四舞『刮目せよ剣呑』 ページ44
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「太宰、見つけた」
午前十時。アイザックは端末で太宰と連絡を取って居た。
すると端末から、太宰の声が聞こえた。
『流石、早いね。それじゃあ説明した通りに解除出来るかい?』
作業をしていても太宰の声が聞こえるよう、肩と耳で端末を固定し、両手で作業を始めた。
「舐めんなよ、こう云うの得意」
いつの間にこんな量を横浜の街に設置したのか判らない。
取り敢えず今は、爆発しない事を願う。
「出来た。次は?」
『待ってね。敦君が見付けたみたいだ』
「判った。一回切るからな」
アイザックは通話を切り、走り出した。
爆発を連鎖させたいなら、そう遠くない所にある筈だと踏んだ。
「ちぃッ、あの泥沼男…何処に仕掛けやがった」
見えざる敵に苛立ちを見せ、アイザックは走る。
懐中が端末の振動で揺れ、見ると太宰から着信が来て居た。
アイザックはそれに応答した。
「何だよ、まだ見付けてな…」
『アイザ君!正面のビルだ!』
ビリッ、と端末から声が響いた。
アイザックが正面のビルを見ると、目の前から銃弾が来ていた。
擦れ擦れで顔を避け、銃弾を避ける。
アイザックが持って居た端末は、銃撃で粉々に砕かれた。
通話は勿論、太宰の声はもう聞こえない。
此処で太宰の所に戻っては、時間が無い。
迷う事無く、一瞬の判断で正面のビルへ疾走した。
きっとあの男の輩下だ。
____絶対に逃がすかよ。
____
__
息を少し切らして、アイザックはビルの屋上に着いた。
冷たく乾いた風が吹いている。
アイザックを殺す心算なら、此処にアイザックが来る事を知って待ち伏せしている可能性がある。
アイザックは、態と足音を鳴らして歩いた。
「…居ないか」
居るのは判って居た。
アイザックは踵を返し、屋上を去ろうとする。
すると、銃声が三発上がった。
掛かった、とアイザックは口角を上げる。
銃弾を全て避け、素早く狙撃手と距離を詰め、蹴りで
座り込む狙撃手の頭を掴んで、地面に押し付けた。
「残念、こんな強いと思わなかっただろ?…で、装置の場所
何処?」
狙撃手は頬を釣り上げた。
酷く不気味だった。
「もう遅い」
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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