第三十舞『開闢する闘争』 ページ30
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罠だと判っていた。
だからこそ、君は独りで行ってはいけないんだ。
失うのを恐れ、独りで突っ走るのは…君の悪い癖だ。
事前にこの場所に
太宰達がアイザックから離れて、三十分位だ。
探偵社の三人は、現場に辿り着いた。
頓車から降りると、太宰は目を見開いた。
真紅の氷で覆われた一両の列車が、終点の駅擦れ擦れで止まっていたのだ。
「…全く、やってくれたよ」
太宰は少し小走りで列車の元へ駆け寄った。
敦と鏡花も太宰を追い掛ける。
太宰が列車に纒わり付く真紅の氷に触れ、異能を無効化した。
「アイザ君!」
太宰が呼ぶも、返事も無く、姿も見えない。
嫌な予感がしていた。それは見事に的中した。
太宰はらしくも無く顔を顰めた。
「太宰さん!駅の方を探して来ます!」
状況を察した敦は、太宰にそう伝えた。
「…敦君、駄目だ。彼はきっとこの近くには居ない」
やられた。こうなる事は判っていた。
無理をし過ぎて、反撃が出来なかったか、気を失ったか…。
太宰が片手で頭を抱えた。
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「小僧が失踪しただと?」
早急に探偵事務所に戻り、状況を知らせた。
太宰と乱歩は、奥の方で何やら話をしていた。
「先刻報道番組で中継があった。暴走列車を丁度、小僧の異能で鎮圧した所だ」
国木田が端末を開き、中継の映像を検索する。
「…駄目だな。小僧の姿は見当たらん」
国木田の言葉に、敦は肩を落とした。
「アイザック…動けない筈なのに」
太宰が真紅の氷に触れた為、問題は無いが…あの真紅の氷の量
だと、かなり出血したに違いない。
「ほう…アイザックか?」
ふと、国木田の背後からした威厳のある声。
国木田は肩をビクつかせ、素早く立ち上がった。
「失礼しました、社長」
すると、遠くから乱歩が
「あ、社長〜!もう進めてるよー」
「後で褒めてやる」
乱歩はふふんと嬉しそうにした。
「お知り合いでしたか?」
国木田が福沢に云うと、福沢は微笑した。
「アイザックは猫を
探偵社員では無いが、『仲間』ではある。
それは、全員が思っていた事だ。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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