第三舞『遭逢せし待望』 ページ3
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日が暮れる頃だった。
影は背を伸ばし、冷たい風が頬を吹き抜ける。
「ふふ、また君か…何やら私に恨みでも有るのかな…?」
黒髪蓬髪の男…太宰が、火花を散らす相手とは…
「ワン!」
「おっと!そう吠えても無駄さ。君の敗北は目に見えている!」
太宰が、道端の野良犬と格闘していると…
太宰の元へ、息を切らして走って来る人影が見えた。
犬は、勢い良く走って来る その人影に驚き、尻尾を巻いて逃げてしまった。
「おや、私に恐れを成して逃げたようだね」
「いや…今のは僕のせいだと…」
人影の正体は敦だった。
「敦君。如何だった?」
満足そうに、にこにこしながら敦に云う太宰。
「そ、それが…怪しいと思って追ったんですけど…駄目でした」
現在、太宰と敦は、連続放火事件の犯人を追っている所だ。
「そうかい、まぁ気にする事はないよ。何せ犯人は、またこの辺りに来るからね」
敦は、何故そうなのかは聞かなかった。
太宰がそうだと云えば、そうだからだ。
「____向こうだね。行くんだ、敦君。」
太宰は微笑した。
敦は、太宰の指摘した方向へ走る。
太宰の予測通り、敦が駆け寄った路地の裏には、先程の怪しい人物が居た。
「させるかぁッ!」
敦が両足に白虎を宿し、その脚力で勢い良く放火犯に飛び付く。
だが、少し遅かった。
炎が広がり、一瞬にして建物が燃え上がる。
普通は有り得ない。炎が燃え上がるまで、もう少し猶予がある。
真逆…
「炎の、異能者…!?」
敦が捕らえた男は、笑っていた。
すると、何台かの警察車が、この場で停車する。
太宰がこの場所と、この時間に呼んだものだ。
男は連行されるが、敦には未だやるべき事が残っている。
「中にいる人を…助けないと…!」
「その必要は無いよ」
ふと、隣から太宰の声がした。
「此処は今、廃工場だ。消防車が来るのを待つのが妥当だね。…まぁ、その間に炎は燃え移って仕舞うのだろうけど」
敦は、焦った顔をする。
「なら、如何すれば…」
炎を見詰めて居た太宰は、敦の方を見る。
「私はね。昔、番犬を飼って居たんだ。それはそれは、優秀な番犬さ」
太宰の不敵な笑みに、敦は息を呑んだ。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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