第一舞『縷縷たる悪夢』 ページ1
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あれは確か、五年前。
太宰治がポートマフィアの幹部になり、一年が経つ頃…。
「…と、云う理由で太宰君、頼りにしているよ」
低い威圧のある声で云い退けたのは、ポートマフィア首領、
森鷗外。
鷗外の声に応えるのは、痛々しい包帯だらけの、最年少幹部の太宰だ。
「姐さんの拷問部隊を持ってしても、口を開かない…
十三歳の少年ですか」
落ち着いた口調で、太宰は云う。
「そうなのだよ。紅葉君も苦労している様でねぇ…、
手伝って上げて欲しいんだ」
鷗外がそう云うと、太宰は黒い外套を靡かせ、鷗外に背を向けた。
「必ず割り出しましょう」
太宰は云い放ち、背を向けたまま執務室を出た。
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ポートマフィア拠点、地下。
様々な拷問器具が並んでおり、中央には鎖で手足と首を繋がれた少年が居た。
「幹部、駄目です。一向に口を割ろうとしません」
五大幹部の一人…尾崎紅葉の部下が、諦めた様に尾崎に告げる。
尾崎は着物の袖口を口元に当て、溜め息を吐く。
「…のう、
尾崎に声を掛けられた少年は、綺麗な金色の髪をしていた。
その髪も既に
少年は固定された椅子に、鎖で厳重に捕えられていた。
「彼奴には、そなたの異能も効かぬぞ?」
尾崎が少年の前に身を屈め、少年と目を合わせながら云う。
「……だから、何」
少年は一言そう云い、尾崎から ふいっ、と目を逸らした。
少年の顔には恐怖の表情は無く、ただ涼しい顔を貫いていた。
真紅の瞳。幼い顔だが…全てを理解した顔付きだ。
「そなたの瞳と異能、似た様な色をしておる」
地下室は、驚く事に
その為に、地下室の温度はかなり冷たい。
少年の異能で、真紅の氷に凍らされた尾崎の部下も居た。
すると…
コツン、コツンと…誰かが地下室の階段を降りて来る音がした。
音の正体が、地下室の氷漬けにされた床に降りると…
真紅の氷は、硝子の破片の様に ふわりと細かく消えていった。
彼は、一言こう云う。
「やぁ、姐さん。随分と
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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