第二十四舞『黒き反撃』 ページ24
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札遊戯を始めてから、時間が経つ。
今の得点は、太宰が負けて居る。
黒髪眼鏡、目の下に黒子…。
間違い無い…透視の能力者だ。
「ストレート…また僕の勝ちだ、お兄さん」
「おやおや、また負けて仕舞ったね。こりゃ参った」
太宰は笑って居るが、明らかに点差が広がって居る。
アイザックは思う。幾ら太宰でも…透視の異能者相手に、勝ち目は…。
アイザックは、腰に隠し持って居た拳銃に触れた。
そして太宰に、こう耳打ちをする。
「…やるか?」
「…君、そう云う脳筋な所を直した方が良いと思うよ」
その時、太宰は五枚の札を持って居た。
既に札を捨て、役が完成して居たが…
「…その手札」
太宰が持っていた手札はノーペア。所謂『ブタ』だった。
百点先取のこの遊戯。後少し負ければ…太宰は…
「落ち着いて。私はこれで勝つ。この手札を待って居たのだよ」
反撃の風が、アイザックと太宰の間を通り抜けた。太宰は口角を釣りあげ、余裕そうに目の前の青年に語り掛ける。
「さぁ、私の手札は完成したよ。君は?」
目の前の青年は、悔しそうにして居た。
「…降りる」
青年が降りた。
青年が手札を見せると、青年の手札はフォアカード。ポーカーフェイスで三番目に強い役だ。
「おやァ?善いのかい?」
太宰は口角を釣り上げたまま、自分の手札を机に投げた。
太宰の手札を見た青年は、目を見開いた。
「な、何で…!ストレートフラッシュの筈…」
青年は、ハッとして黙り込んだ。
「あれぇ?君、私の手札が見えたりするの?」
太宰に、高得点が課されていく。
「この遊戯は、パスが出来る。しかし、負けを恐れてパスをした場合、自分の手札より相手の手札が弱かったのなら…それは相手に高得点が出る。そうだろう?」
それは、相手の手札が弱ければ弱いほど高得点になる。
思わず、アイザックも唖然とした。
「人は、自分の見たものを信じてしまう。それは、君みたいに…頭を使わないで勝って来た人程にね」
その後の太宰は、一点も譲らず青年の得点に追い付く。
次第に黒髪の青年の表情が、焦りと迷いで埋め尽くされる。
「ぼ、僕は…駄目だ、負ける訳には…」
…突如、遠くで爆発音が聞こえた。
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要注意異能力者___内務省異能特務課より
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - かれぇらいすさん» ほわ〜!!ありがとうございます!!二次創作ではどれも画像に規制がかかっており、誤字修正の際に申請通してない画像は全部消えてしまって、アッ…となりました…ヒィ...とても申し訳ないです…!あいざくんはこれからも描くので、何卒…ッ!!!! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
かれぇらいす - 久し振りに読み返してます!ところで第三十一舞のアイザ君のすんばらしいイラストはもう見れない感じですか…?私の端末だと写らない(?)のですが…(´・ω・`) (2020年3月16日 0時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» わ〜!ありがとうございます!文スト自体が流血沙汰なので回避しきれない案件です! (2019年9月27日 15時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - χCielχさん» 第一章を読み切りました。アイザックさんも、厄介な過去をお持ちですね汗。根は、レイくんににていますね。細かいところは違いますが... 。少し休憩してから、続編を読んで、いきます。余談、シエルさんの、文スト、どうしても、流血沙汰に(苦笑)。 (2019年9月26日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 那佳さん» ぎえええ!?もしそうならとても嬉しいです(*´-`*) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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