第四十六譚 ページ46
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＿＿＿＿荒れたリビングに倒れ込むのは、氷室の父親の姿。…息はない。既に死んでいる。
氷室雪弥は、立派なワインセラーから一番高値なワインを手に取る。父親には絶対に触るなと言われていたワインだ。
『へえ〜！ロマネの四十五年代モノ？ははっ、やば。こんなのどこで買ったんだよ』
楽しそうな声の氷室のそばには、返り血の付いた『亡霊卿』の使者の姿。父親の事を瞬殺してしまった。一応父親も、強い個性の持ち主だったのだが。
楽しむ氷室雪弥の事を、怯えるようにうずくまる母親。母親の啜り泣く声が聞こえる。
『ごめんなさい、ごめんなさい雪弥、お母さんちゃんとするから、ねえ、雪弥』
『ねえお兄さん、この栓開けて』
母親の言葉など無視し、使者の青年にワインの瓶を渡した。素手で開けられるものでは無いのだが、青年は意図も簡単に栓を素手で開けてしまう。
栓を開けた瓶を受け取り、泣いて命乞いをする母親の元に歩み寄る。瓶のままひと口飲んでみると、まだ子供である雪弥の口には合わなかったようで。
『ウエ。まっず。……もう要らないや』
母親の髪も肌も、氷室雪弥と同じく白い。そんな母親の頭に、ばしゃばしゃと容赦なく赤ワインを掛ける。
『ねえ母さん、生きるんだったら楽しい方がいいよね？』
息子の問いかけに、母親は必死に頷いて肯定する。肯定してくれた母親に、『ならよかった』と、にこりと笑顔を向けた。
『見守っててよ。これが俺の選んだ、人生の楽しみ方』
空になった瓶を逆手に持ち、振り上げた。ゴッ、と鈍い音がすれば、母親は床に倒れ込む。母親はおそらく気を失っただけ。死んではいない。
『とどめ刺しといてよね』
『亡霊卿』の青年にそう吐き捨てて、氷室は荷造りを始めるために階段を登って行ってしまった。
＿＿＿＿まるで悪魔のような少年だな。一体何があったらこんな少年になるのだろう。『亡霊卿』の青年はそう思いながら、母親にとどめを刺した。
犯行が分かりにくいように、青年は氷室雪弥が準備している間、さらに家の中を荒らし、そして遺体を庭に埋めた。
＿＿＿＿一応、これが『静岡県在住一族殺傷事件』の全貌だ。
『亡霊卿』の使者が一方的に虐殺したわけでは無かった。首謀者は他でもない、氷室雪弥本人である。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» そうです〜！！氷室編で出すかどうか今は迷っております〜ややこしくならないよう心がけます💪 (2021年11月27日 0時) (
レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 瑠李さん» ｱ!!ありがとうございます！！(*´╰╯`)楽しみに待ってくれているのだなと思えるだけでとても力になりますありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - へ！？逆巻さんて、あの、時間巻き戻しの逆巻さんですね(^^♪。活躍場面は、あるのでしょうか(^^)？ (2021年11月26日 22時) (レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - めっちゃ好きです˙˚ʚ₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎ɞ˚読んでます。更新いつも楽しみに待っています。頑張ってください。応援してます。 (2021年11月26日 18時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます〜！！男主に触れて下さり嬉しいです！コメントとても力になります…！頑張ります！！！ (2021年11月26日 1時) (レス) @page47 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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