Necromance73 ページ23
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____成瀬。
そう名乗った金髪目隠しの青年の周りには、この病院に巣食う霊魂達が取り巻いている。
然し一方で、藤崎が縛り付けている霊体は全員、成瀬と云う青年を避ける様にしていた。藤崎が縛り付ける霊が成瀬を恐れている。その様子から、青年が只者では無いと見抜いたのだ。
「君の言う通りだよ、藤崎翔くん!俺は死神。君に嘘を言ったって通じないらしいからね」
「さぁ…如何だろう?死神の心理を読んだ事は無いから」
あはは、と藤崎は寝そべったまま笑う。それに連られ、青年もにこやかに笑う。青年の笑顔はとても明るい物であるが…少し自分に似ているとも思う。
窓から風が入る。青年が金色の髪が靡き、黒い布がはためく。
透けたカーテンが青年の存在を強調するかの如く、陽を纏い煌びやかに輝いて揺れた。
その様は…本当に『神』そのもの。思わず言葉を失ってしまった。目を見開いて青年を見ていると、青年がニッと笑う。「よっ、」と呟き、窓の縁を飛び降りる。
踵を鳴らして藤崎に近付けば、成瀬はずいっと顔を藤崎に近付けた。突然の事で驚き、目をぱちくりとさせる。金髪の青年の顔が藤崎の首元に埋まると、青年はそのまま匂いを嗅いだ。
「え、な、何ぃ!?何!?何で俺今匂い嗅がれた!?
何!?」
「ん〜…なるほど、煙草の匂いが少しと…君自身の匂いだと、微妙。フルーツっぽい匂いと、あとひたすら胡散臭い!!」
成瀬は産まれ付きの『全盲』。まるで目が見えない。然し
成瀬には、人類では辿り着けない『第六感』が存在する為、目の前の人が今何をしているかが判る。『第六感』は成瀬の能力であり、その能力のお陰で彼は剣豪とも呼ばれる程剣の腕が達者だ。
その証拠に、右腰に刀が二本携えられて居る。
「微妙なら嗅がないでよ!離れて!近い!!成瀬君じゃなくて可愛い死神呼んでくださぁ〜〜い!!」
「違うよ!嗅ぎたくて嗅いだんじゃなくて!君を覚える為に嗅いだんだよ。俺は目が見えないからね」
『目が見えない』。その言葉に、藤崎がピタリと息を止めた。
「成瀬君、目……見えないの?」
「見えないよ。ほら」
シュル、と目元の黒い布を解き、ゆっくりと目を開けた成瀬。その目は群青。人間離れした様な白い瞳孔。目線が合って居る様で、何処か別の所を見ている。それこそ届かない何処かを。
目隠しを外した青年の瞳は、それはそれは綺麗で。
「隠して仕舞うのは勿体無いよ」
そう、口にして居た。
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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