Necromance68 ページ18
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____十三時十三分を過ぎた頃。藤崎は一人で、何時もとは違う別の喫茶処に居た。イヤフォンを耳に嵌め、携帯型端末を眺めている。
「時刻通りだ。任せたよ、番犬君」
今藤崎が見て居るのは、生中継の報道。暴走した列車の映像を…
上空から捉えたものだった。列車は速度を上げ、このままでは終点の駅へと激突するであろう。一般的な操作で、止まる訳が無い。
「…止まる訳無いよ。俺が一番善く判ってる。真紅の氷の異能なら…話は違って来るけどね」
まるで…この事件の全貌を全て知っているかの様な口振り。
頬杖を着いて端末を眺める。上空から撮影される暴走列車。突如 何者かにより、十両程ある車両の内…先頭車両だけが分断したのだ。
連結を断たれ、二両目以降は段々と速度を落とす一方…軽くなった先頭車両は、ぐんぐん速度を上げて行く。
後に判るのだが、一両目の中に人は誰も居ない。『彼』以外。
そしてカメラが捉えた。『彼』の姿を。列車の窓から蹴上がり、列車の屋根に立ち強風に当てられる…金髪赤目の青年、アイザックの姿。
強風にキラキラと金色の髪が揺れ、強烈な向い風に目を細めた青年。金髪の青年が中継に映った途端、藤崎は顔を顰めた。君を護ると豪語して置きながら、結局危険に晒して居るのは自分自身だ。
映像の中で、アイザックが短刀を取り出して自傷をする。真紅の氷の発動条件はこれで揃った。金髪の青年が線路に向かって氷を放つ。次々に氷を形成し、段々と列車の速度が落ちて行く。終点の擦れ擦れで止まるか、衝突するか。もうそこまで来たと云うのに____。
プツ、と映像がそこで切れた。ザザザと音を立て、砂嵐の画面が映る。全くの予測外。映像が途切れる等思っても居なかった。何故?何故予測出来なかった?
映像が途切れたのは藤崎の端末だけでなく、今の報道を見て居た人 全員の端末の画面が砂嵐と化して居た。
そして…藤崎の端末にだけ。
ケタケタと笑う『鼠』が現れた。それを見た瞬間、予測外なのも全て納得が行った。
「あぁあの子…本っ当…俺の事
今藤崎が云うあの子とは、『死の家の鼠』頭目のフョードル・ドストエフスキーの事だ。彼にとってこのハッキングは、単なる興味。鼓動のひとつでしか無いのだからタチが悪い。
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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