Necromance67 ページ17
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____翌日。昼の十二時頃。太宰からの着信があった。国木田が藤崎の連絡先を知って居るので、藤崎の連絡先を突き止めるのは容易だろう。
その着信で目が覚め、のそのそと携帯型端末に手を伸ばす。拒否を押そうとしたが、何分寝惚けて居て応答を押してしまった。
仕舞った。と思ったが仕方なく通話をする。
「はいはぁい、何…?お兄さん今忙しいんですう」
寝起きだとバレバレな掠れた声で話すと、端末からは矢張り太宰の声。その声は何処か、敵意のある声。四年前と似た…凍り付く様な声だ。
『君だろう、翔』
「何が?」
太宰が何を云おうとしているかは判って居る。然し藤崎は惚け、何も知らない振りをする。
『惚けるのが無駄だって事も判って居る筈だよ。十三時十三分。或る列車が暴走する。これは君だね』
「はぁ……だって本当の事だろうに。確かにその文を書いたのは俺だよ。だけど、探偵社に脅迫としてその文を送り付けたのは俺じゃあない」
『なら何故知って居るんだい?探偵社に脅迫としてこの文が来たって事。私も誰も、何も云って無い筈だけれど』
寝台に寝そべったまま通話して居た藤崎が起き上がり、端末を肩に挟んで両手を空け、煙草を取り出して火を付けた。そうして窓を開ける。
『ねぇ翔。聞いてる?また煙草でしょ』
「あぁもう聞いてるよ!読んだんだよ。俺がその文を送り付けたのはあの男だ。あの男はそれでアイザック君を奪い取るだろうと踏んだ。それで探偵社にそっくりそのままその文を送り付けて、アイザック君を誘き寄せるだろうと考えただけだ。アイザック君はこの街が好きだし、何せ正義感が強いからね。何?中り?流石俺」
太宰はアイザックの今にも、過去にも…直接関係する人物。この事を太宰に教える事にリスクは無い。寧ろ下手に騙して怪しまれては都合が悪い。暫く沈黙が続いた後、端末からは溜め息が漏れた。
『だとは思って居たよ。それに中りだ』
「なら云わせないでよ!説明が長いんだからさぁ!!まじ呼吸困難になるから!!はあ息切れがする」
『うはははもうすっかりおじさんだねえ』
「あはは覚えてろ餓鬼ぃ〜、死後は絶対縛る」
死後に魂を縛られる等、太宰にとってそれ程までに厭な事は無いだろう。「げえ、やだ最悪!」なんて云うが聞かず、藤崎は笑ってブツリと通話を切った。
部屋に浮かび、窓の外に流されて行く灰色の煙を見ては…友人を思い出す。
「…見ててね。俺、凄いんだから」
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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