Necromance６６ ページ16
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薄暗い部屋。ノート型端末の光だけがその部屋を灯していた。
＿＿＿＿明日。十三時十三分。或る列車が暴走する。
その文字を打ち、満足げに口角を上げるのは…桜髪の男。
「…まぁ、存分に楽しんでくれよ。シンガー」
タン！と音を響かせ、人差し指でキーを押す。そうしてその文を送信し、完全に相手に届いたと確信すれば…高値だったノート型端末を持ち上げ、風呂場へと足を運ぶ。湯を張った湯船にノート型端末を躊躇無く叩き込む。
一度あの男と繋がった端末等要らない。この一文を送信する為だけに、このノート型端末を購入したのだ。
アイザックの敵は、藤崎の敵でもある。もしもアイザックが藤崎を敵として見なせば、喜んで自らの魂を捧げるだろう。
浴室を出て、扉を閉める。閉めた扉に背を付けて寄り掛かり、その場で立ち止まって居た。
少し怖い顔をしていたのだろうか。足元に擦り寄る真っ白な
ラグドール。薄暗い中、光る青い瞳。藤崎の愛猫であるオサムが、藤崎の足元に擦り寄った。
ずるずると壁を滑り、へたりと尻もちを着いた。そんな藤崎の事を心配そうに見ては、「にゃあ」と鳴く。
「大丈夫。大丈夫……だよね？」
白猫を抱き抱えた桜髪の男。彼の手は震えて居た。
「もし…失敗したら如何しよう。失敗したら、アイザック君が目を覚まさなくなっちゃう」
強く抱き締めて仕舞いそうなのを抑えて、オサムの整った毛並みを優しく撫でる。情けない藤崎の表情。人の言葉を話さないからこそ、猫のオサムにこの表情が見せられるのだ。
…この弱気が駄目なのだ。失敗する確率は低い。アイザックが目を覚まさなくなる事など、ほぼ無い。何を恐れて居るのだ『均衡者』。
片手で自身の顔を覆った藤崎。
すると、何時もの様に口角を上げた。
「あの男は必ず死ぬさ。大丈夫、大丈夫だ。…さて！お腹空いたね。ご飯にしようか！」
藤崎の事を見上げる猫。猫が人の言葉を話せるとしたら、きっとこう云うだろう。『苦しそうだ』と。
「今日の猫缶はね！凄く美味しいやつ！きっと気に入ってくれるだろうなあ！」
と、オサム専用のお皿に移す。オサムは利口で、直ぐに食べようとはしなかった。藤崎が「食べて善いんだよ」と撫でると、漸く食べ始めた。
さくすけが生きた街を、君の友人が生きる街を。穢れと呼ばれた彼が生きる街を。護る事は出来る。
ただ、オサムを取り残して仕舞うのでは無いかと思うと…目の奥が熱くなった。
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (
レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…！笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました！こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…！！！本当にありがとうございました！ (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - ｱｯ……ﾔﾊﾞｲ エッ俺の心臓無事？大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです｡ 最初見たとき大号泣してしまいました｡ 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......！是非に！！！！私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......！！！ (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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