傷だらけの君を、描かせて呉れ。【文豪ストレイドッグス】−不浄編−

Necromance５６ ページ6

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探偵社ビルを包囲する記者の山を、一人で対応する国木田。


「放火事件でのあの青年は、武装探偵社の社員でお間違いありませんか」

「灼熱をも凍らせる危険な異能力者が社員とお聞きしましたが！」


等、まるで真紅の氷の異能者である青年が、武装探偵社の社員だと思い込んだ発言を、記者が国木田に投げ掛ける。


大規模な異能。そもそもその青年が日本国籍で無いと来た。存在自体が報道レベルであるアイザックを、記者達は知りたくて仕方が無い。



「ですからあの青年は＿＿＿」



国木田が手を前に出して云いかけるも、記者の山はぐいぐいと近付いて都合の善い話を聞き出そうとする。


「そもそも、あの放火事件そのものが金髪の青年の仕業だと云う事は！？」



限界だ。話を聞こうとしない記者達にも。否定に否定を続けても止まない記者の質問にも。


頭が痛くなって来る。何とかこの場を切り抜ける事が出来ないか。


そう思った時だ。国木田の背後から、コツコツと靴を鳴らして来る音が聞こえた。振り返るとそこには、桜髪の男。そうして彼は、何時もより低い声で云う。



「それは違う。彼は俺の友人だ。探偵社とは関係無い。知りたければ探偵社じゃ無く、俺に聞きなよ」



記者の山の視線は、国木田から一気に藤崎へと移った。そうして質問の嵐。ありもしない事柄まで、ぺちゃくちゃと一斉に浴びせられる。


藤崎を囲う様になり、桜髪の男の姿は一瞬で見えなくなる。



「おい、藤崎！」



国木田が声を掛けるも、記者達の質問の嵐で声が通らない。


人の山の中心では、藤崎がぽつりと呟く。



「煩いな…どいつも、こいつも」


両手を背に隠し、右の手袋を外す。溢れる死霊。一般人に死霊は見えない。藤崎がカメラを構える男を睨み付けると、その男に死霊が憑依する。


そしてカメラを振り回し、周りに襲い掛かった。様子が可笑しくなったのはその男だけでは無い。


ありもしない事を手帳にメモした女性記者に乗り移り、手帳をビリビリに破いた。


可笑しくなった記者を見て、周りの記者もどよめく。


高そうなカメラを地面に叩きつける光景。破いた手帳を踏み躙る光景に、藤崎は口角を上げる。




「…あは、あれ？あれあれ？如何した如何した。折角残した記録が台無しじゃんか。莫迦だなあ。あはは」



可笑しくなった記者に怯え、退いて行く人の山。



思い上がるな。お前達に与える情報は、何一つ無い。藤崎は、それはそれはとても楽しそうに嗤って居た。


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何処かの誰かのノート

彼奴を必ず救う。絶対に。

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