Necromance79 穢れた追憶:肆 ページ29
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____十年前。藤崎が高校二年の時。
誕生日を迎えたその日。十七歳になった彼だが、誰かに祝われる訳でもなく、自分でも誕生日を忘れる位だった。
居候としてシンガーの世話になっている藤崎。家族は『殺された』。学校でも、誰にも教えて居ないのだから…当然誰も知らない。
美術部であり、遅くまで学校に残って絵を描いている事も多かった。彼の絵はずば抜けて上手かった。その時に描いていた物は何時も…見た事の無い少女の絵。
少女の絵、と云えば…そりゃあ見た事無いだろう。と思うかもしれない。けれど藤崎は、「何時も此処で、この子を画材にしているんだよ」何て云っていたのだ。
この日も、絵の具の散った 誰も居ない美術室の中央に椅子を置いて座り、キャンバスに向かう。その体制が整うと…決まって少女は
「____お誕生日おめでとうございます。藤崎翔さん」
可愛らしい声がした。用意した向かい側の椅子からだ。キャンバスから覗くように見れば、そこには白茶色の髪に、栗色の瞳をした幼い少女の姿があった。
「…あれ、誕生日だっけ…。あはは、如何して俺が知らないで
アルマちゃんが知ってるんだろうね」
「私はずっと貴方を見て来たから…いえ、私じゃなくて…あの方が」
高校二年生、制服を着た藤崎の向かい側に現れた謎の
少女____アルマ。
少女アルマが云う『あの方』。名前だけは藤崎も知って居る。
「何だっけ?シルヴァロイド様?」
「えっ!?な、何で知って…」
「やだなあ、この前君が自分で呟いてたよ」
何時の間に…と両頬を押さえて恥ずかしそうに頬を赤らめた。
アルマは云って居た。『あの方』は死神を創り出す事の出来る方だと。生まれたての死神は皆骸骨であるが…百年、二百年と時間を掛けて丁寧に作り出せば、アルマの様な実体のある死神を創り出せると。
アルマは死神でない死神。アルマに戦闘能力は無く、普通の人間の少女の様に見えるのだ。出来るのは『魂の回収』のみ。
『あの方』と呼ばれる者がアルマに頼んだのは、藤崎翔と云う人間の監視。それは藤崎も知らない。如何でも善いのだ。藤崎にとってアルマは…ただの初恋だ。
見た目は十二歳程のアルマ。それで少し悩んだが…中身が百や二百と知り、特に問題は無いだろうと想いを打ち明けた所…。
勿論断られた。その代わりに何か出来ないかとアルマが云ったので、藤崎は「画材になって」と頼んで今の関係に至る。
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何処かの誰かのノート
彼奴を必ず救う。絶対に。
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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
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