Necromance42 ページ42
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「うっえぇ…!」
「手前藤崎…この野郎…!」
車内で体調不良を訴える藤崎と中原。藤崎の華麗なる運転はかなり内臓や脳味噌を振り回してくれた。一発殴りを入れてやりたいと思った中原。
あわよくば殺してやりてぇとも思う。
だが『均衡者』の始末は、してはいけない事である。藤崎の事だ。自分が殺された瞬間、情報やら何やらをばら撒く位の細工はしてある。
「これを使うしか無いか…」
運転席の藤崎が、真剣な声色で云うので気になった。助手席に座る中原が隣を見ると、藤崎は何やら薬を取り出して居た。
見た事も無い形状の薬。中原の首筋に冷や汗が伝った。藤崎が作る薬や諸々は、どれもこれも頭の可笑しい狂った物ばかりだ。
「おい…何だ、そりゃ」
中原は物凄い血相で、薬を持つ藤崎の手首を強く掴んだ。
ギリギリとあと少しでも力を込めれば、藤崎の細い手首は折れて仕舞うだろう。
「お願いだから、離して中也君」
「誰が離すかよ。質問に答えろ。その薬は何だ」
「即効性の酔い止めだよ!!お願い離して!!吐く!!」
そう叫べば、中原はぽかんと藤崎を見詰めた。至近距離で藤崎が「うぷ」と口を押さえたので、中原は焦ってその薬を奪い取り、藤崎の口に押し込んだ。
「さっさと飲めや!!」
君が止めたんじゃん!と思いつつ、ごくりと飲み込む。藤崎製の即効性酔い止めは直ぐに効いて来た。藤崎はホッと胸を撫で下ろす。
「中也君は?要らない?」
「要らねェよ、手前が作ったモンなんざ」
ハッ、と藤崎を手で払う様にした。その後はシン…とした空間が続く。藤崎は徐に窓を開け、煙草を取り出した。煙草を咥えると、自身の懐を漁り始める。ライターを探して居るのだが…。
「あ…最悪。ライター忘れて来た」
「おら使えよ、ヘビースモーカー」
中原は藤崎を見ずに、自分のライターを藤崎に寄越した。中原の手を押し返して、藤崎は首を振る。
「悪いね、あのライターじゃないと嫌なんだ」
「はァ?どれも変わんねェだろ」
「あっはっは!そうだね、お子様はそうかも」
挑発された中原は腹を立て、青筋を立てて藤崎の胸倉を掴む。真っ直ぐに見詰めあった青の瞳と金色の瞳。見透かされる様な視線に耐えられず、雑に手を離す。
「チッ…手前が『均衡者』じゃ無かったら既に殺してるからな」
「そう?中也君、何だかんだ云って俺の事好きじゃん」
巫山戯て云う桜髪の男。中原は黙って中指を立てた。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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