Necromance34 ページ34
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初めまして。と自己紹介をした藤崎。桜髪の彼の表情は、それはそれはとても珍しいものだった。
完璧に笑えて居ない笑顔。何処か切なく…悲しみを帯びた表情。上手く笑え無いのだ。『均衡者』とあろう者が。
ゴロツキで、金髪赤目の青年…アイザックは、藤崎のその表情を見て…やけに胸が締め付けられた。元々揺さぶられ易い単純な性格である青年。
藤崎が太宰から隠したあの絵。
あの絵の人物の正体は彼、アイザックである。
「元気そうで…善かった」
藤崎がしんみりとした口調で云うと、青年は「は?」と眉を顰めて云った。本当は、何処かで会った事があるのでは無いか。そう思った矢先、
「元気そうで善かったぁぁ!!オサムうううう!!」
でれぇっとした甘い声で白猫と戯れる藤崎。その様子を見て、
杞憂だったかと軽く溜め息を吐くアイザック。
「おいあんた。もう此処から離れろよ。目え付けられるぞ」
「何で?」
態とらしくきょとんとした顔付きで、藤崎は首を傾げる。金髪の青年はぐ、と歯を食いしばり、静かに言葉を放つ。
「…俺と居ると目付けられるっつってんの。判ったらさっさと行け。面倒なんだよ」
四年前からゴロツキとして此処で暮らして来たみたいだ。現在
十八歳。四年前…十四歳と云う幼さで、頼る物も縋る物も無く過ごした。
今では、彼らの界隈では聞かぬ者は居ない程…名の知れたゴロツキになってしまった。
素っ気ない態度を取られたが、アイザックの意図には温かさを感じた。
「左手」
藤崎がアイザックに云う。アイザックはぴくりと反応した。判り易い反応だ。
アイザックの異能は、『自分の血を流した量に応じて、真紅の氷を出現させる』異能。
つまり発動条件は、自傷をする事。必要不可欠である。そして、傷口はかさぶたの様に真紅の氷で覆われる。
アイザックはずっと左手首を背に隠して居た。
「威嚇如きでその異能は使わない様にって、あれ程云ったのに…って、あちゃ〜!覚えてないか!」
こつんと自分の頭を叩いて、お茶目な一面を青年に見せる。アイザックは若干引いて居た。
「善い大人がそんな事すんなよ。おっさん」
「なんつった。ぶっ殺して縛んぞ餓鬼」
「あ?やってみろ!!俺に勝てると思ってんのかよ!」
青筋を立てた青年を、藤崎はどおどおと暴れ馬を落ち着かせる様に促す。
「短気は善くないよ、ゴリラック君」
藤崎がアイザックの蹴りを喰らう数秒前の話だ。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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