Necromance33 ページ33
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この辺り一面を凍らす『真紅の氷』。青年の瞳の色と似る氷の色。
「
『穢』。犯罪者の男達は、金髪の青年をそう呼んだ。
『穢』とは、この横浜の街で最も凶暴だとして有名なゴロツキの名前だ。そんな噂だけ聞いて実際この青年を見たら、こんな子供が。と驚くだろう。
「だから……、俺をその名前で呼ぶな!盆暗野郎!」
青年の回し蹴りが、ゲージを持つ男の顔面に炸裂した。強烈な一撃。余りの衝撃に、ゲージを手から離してしまう。
金髪の青年は、ゲージが落ちる前に掴み取って、ゲージを持ったまま、中の猫を庇う様に次々と男達を蹴りで一掃。青年の赤い瞳が光る。
一瞬にして屈強な男達が地に伸びた。藤崎はその様子を、ただ
目を丸めて眺めて居た。動けないのだ。目の前の青年を目にして。
ふう、と金髪の青年が一息吐くと、青年はゲージを地面に置いて、ゲージを開いて白猫を見た。怯えた白猫は、ゲージの奥の方で動かないまま。
「悪かったな、振り回して。もう大丈夫だから出て来い」
金髪の青年が、白猫を指でちょいちょいと招く。青年の温かさが伝わったのか、白猫は青年に寄る。青年は白猫を抱き抱え、藤崎の元へ歩いた。
「ほらあんた。こいつだろ?綺麗な猫だな」
「あり……がとう…
そうして、アイザックと呼んだ金髪赤目の青年から、オサムを受け取る。本当に善かった。頬を擦り寄せてしまった。
直ぐに気付いた。教えても居ない名を呼んだ藤崎を、青年が不審気に見ていた事を。
青年の名前はアイザック・バシェヴィス・シンガー。この街のゴロツキだ。
「何で俺の名前…知ってんだよ?」
アイザックがゆっくりと腰に手を掛けた。知って居る。彼の腰には短刀が忍ばされて居る。
「あんた、誰だよ」
藤崎は個人的に、アイザックと接点があった。アイザックは、織田作之助が養っていた子供の一人だった。アイザックに関しては養っていたと云うより、暮らしていたと云う方が妥当か。
そして、藤崎は織田の友人。アイザックを含めた子供達に会いに行った。遊んだ事も、何度だってある。
けれど忘れて居る。記憶を無くす事は、アイザックの異能の一部でもある。だからこう云おう。再会を願った君にでさえ。
「…あぁ、ごめん!人違いだった!」
藤崎はオサムを撫でながら、へらりと笑う。
「初めまして。俺は藤崎翔。君の味方だ。そう警戒しないでくれ」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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