Necromance20 ページ20
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「い、や、だ!」
「お、ね、が、い!」
扉を押さえ付ける太宰と、閉じようとする藤崎。力が互角である。太宰も何をそんなに焦って居るのだろうか。
「話だけ聞こうかな!!」
「いや何ね、鉛の様に重〜いストーカーさんが包丁持って追い掛けて来たのだよ。丁度君の家が見えたから昇降機で五階まで上がって君の住む『506』号室に来た訳さ」
画期的な死に方を思い付いたから、刺されるのは痛いし苦しいし中々死ねないから嫌だ。だから逃げましたと笑顔で云う太宰。
「『506』とか云わないでよ!復讐に俺が狙われるじゃんか!」
「うわ追って来た!うふふふ早く!」
目の前の男はとても楽しそうにして居る。あぁ、放って置いても大丈夫そうだが…追って来て居るのは本当の様だ。執念が凄まじいストーカーさんだ。
藤崎は太宰と目を合わせて、こんな事を聞く。
「太宰君、酒は?」
「買ってある」
さっ、と袋を掲げて見せびらかす。
「つまみは何?」
「かにかま」
同じ袋の中から、美味しそうなカニカマが出てくる。
「画材になってくれる?」
「勿論!………え?」
藤崎は にぃ、と口角を上げ、扉を開いて太宰の手首を掴む。
「よし来た!いらっしゃいマイモデル!!」
ここぞとばかりに善く判らない馬鹿力を発揮して、ぐい、と太宰を自宅へ引き込む。本当に誰かが直ぐそこまで迫って居た。バタンと扉閉じて鍵を掛ける。次いでにチェーンも掛ける。
ガチャガチャガチャと恐ろしい程激しくドアノブを回される音がする。これはただのストーカーじゃないな。と溜め息を吐く。
覗き穴から太宰のストーカーの様子を見た。
「あっははははは!可愛らしいお嬢さんじゃんか!太宰君は辞めな!!辞めたら俺がその魂縛ってあげよう!」
と、声高々に笑う。ストーカーを煽って居る様にしか聞こえない。
「私からしたら、翔こそ辞めた方が善いと思うよ」
「何でだよ、俺結婚してずっと家にいて子供の面倒見たい!!」
「うわァ駄目人間過ぎて引けるぅ。男じゃなぁ〜い」
太宰も割と私生活は駄目な方ではあるが、男性は女性を支える物だとは理解して居る。やれやれと肩を落とす。
再び覗き穴を見て見ると、ストーカーの姿は無かった。
「あれ、居なくなった?なら私帰ろうかなあ。画材は御免だ」
「待って」
藤崎は霊体を通じて、ストーカーの居場所を突き止める。
「…まだ居るね。泊まって行きなよ」
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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