Necromance30 ページ30
_
現在。武装探偵社事務所にて。悪霊から解き放たれた事務所で、国木田はここ最近物凄いスピードで仕事を終わらせて居る。
おらおらおらとデスクワークに取り組む国木田を背景に、藤崎はソファに座る乱歩に頼み込んで居た。
「白い髪に青い瞳、名前はオサム、四十四歳の男の子ですう!
お願いしますう!愛してるんですう!愛し合ってたんですう!
捜してくださぁい!!」
「変な云い方は辞めなよ藤崎。それ猫でしょ」
手を合わせ、必死に乱歩に頼み込む藤崎。何時もの頼り気の無さそうな表情。周りが藤崎だけの言葉を聞けば、変な誤解が産まれたであろう。
乱歩は棒付き飴を齧りつつ、呆れた様に云っていた。
「僕だけじゃなくて、探偵社はただの猫探しは生憎受け付けて無いからね。普通の探偵にでも頼めばぁ?」
「そんなぁ〜〜!」
とほほと肩を落とす。こんなに情けない男が、均衡を司る者だと知れば、知らない人からすれば大仰天だ。
「藤崎なら態々、僕に聞かなくたって判るでしょ」
「目星は付いてる。何より確実性が欲しいんだ。こう見えて今はかなり混乱しててさあ。考えるのが疲れたんだ」
藤崎の真剣な声に、乱歩は細い糸目を開く。藤崎はにこやかに
笑って居た。藤崎の頬には、血管が浮き出てまだ治まり切っていない痕。隈を目立たなくさせる物を、目の下に塗っている。
そしてまた、ぱんと手を合わせて懇願する。
「お願い!愛しのオサムを捜して!俺にはオサムしか居ないんだ!あぁっ!俺のオサムが危ない!!」
「一寸!そっちで『オサム』連呼するの辞めてくれないかい!!」
オサム愛してるだの何だの云われる度にゾワゾワと鳥肌が立つ太宰は、ついにそう叫んだ。あっはっはと高々に笑う藤崎。この男確信犯だ。
「またオサムなんて太宰みたいな名前付けたなあ。…交換条件だ、藤崎。いや、」
『エクリヴィラー』と、乱歩が声に出さず、口の動きだけで云った。その動きだけで充分だ。
「はは。何をお望みかな?名探偵」
「まだだ。今は何も要らない。先払いだよ。乗るなら猫の場所を簡潔に正確に教える。で、如何?」
そして何かを企んだ笑みを浮かべて、黄水晶の様な瞳が、鋭い視線を目の前の名探偵に投げた。その後は決まって、へらりと軽く笑う。
「乗ろう。君の考えてる事に、着いて行く自信は無いけど」
連られ乱歩も口角を上げ、翠色の瞳で藤崎を貫く。
「どの口が。まぁ…、精々頑張ると善いよ」
_
【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
551人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ