君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage９９ ページ49

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横浜の街を一望出来る部屋。豪華な絨毯。その奥の椅子に腰掛け、両肘を着いて指を絡めて何かを待つのは、ポートマフィアの首領、森鴎外だ。


ノックの音が聞こえ、「どうぞ」と声を放つ。扉がゆっくりと開く。そこには帽子を取り、忠誠の色が見える中原と…初めて見る執務室に目を輝かせていたレイ。レイの格好は、何時もの隷属部隊の配給服。



「すごい」


たっ、と駆け出すレイに中原が一言声を掛ける。



「おい、俺の前を歩くんじゃねぇ」



するとレイはぴたりと止まって、ちょこちょこと中原の背後に戻った。やけに素直なレイ。中原は知らない。これが太宰の教育の賜物だと云う事を。


レイの従順な姿には…目の前の鴎外も目を丸くして驚いて居た。気を取り直す様に咳払いをし、鴎外はレイに言葉を投げる。



「矢張り…白い吸血鬼の噂は、ブラッド君だったのだね」


「ぶらっどくんだった」


うんうんと頷くレイ。失礼な口振り。中原はレイの口を塞ぎ、代わりに報告をする。



「首領、此奴は素直に俺に連れられて来ました。ほんの数日で帰って来られたのが、何よりの証拠です」


「ふむ…それでブラッド君。何故素直に捕まったのだね」


レイしか答えられない質問。中原はパッとレイを離した。意外にも直ぐに答えは返って来た。



「やくそくをしようとおもった」


「ほう、それは」



「俺は『隷属部隊』にもどる。ただし、元『隷属部隊』のあいつらとは、もう関わらない。俺一人で充分だ。それをやくそくしてくれたら、いうことをきく。俺はやくそくはやぶらない」


太宰の教えた『考える力』は、レイに新たな力を与えた。力だけでは守れない物もある。レイの瞳が鴎外を貫く。


レイの莫迦で阿呆な所は変わらないが、何時の間にか…こんな事も云える様に成っていたのだ。太宰が云った「考える力を教えます」とは、この事だったか。



「…善いだろう。早い所君に、任務に行って欲しいからね。約束しよう」



「にんむ？」



鴎外は頷き、そして続ける。



「北森君にも協力して貰って居るんだ。彼、狙撃銃を扱うのは四年ぶりだろうから…少し心配でね。援護をして欲しい」


北森鴻は、生きている。四年前、太宰が上手く…彼を逃がしてくれた様だ。その彼がマフィアに協力をしているとなると少し驚きだが…レイの答えはひとつ。



「わかった」





その日の夜。レイは十九歳に成長した彼と、再会した。


誤って蹴りを入れて仕舞った事は、今でも謝りたい。


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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