君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

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モノクロのタイルが広がる床。高純度鉄で出来た壁。


広い空間だ。高い本棚がずらりと並ぶこの空間に差す光は、ステンドグラスから入る月明かりのみ。その為、比較的暗い。


この広い空間の中央には、執務室に置く様な高価そうな机と椅子。


そこに居たのは、端正な顔立ちの男だった。男は椅子ではなく、机に腰掛けて居た。そして一冊の本に目を通して居る。


男の金色の瞳が英語の文を追う。彼は日本人だ。如何やら英語が読める様だ。


「違うな」


読んで直ぐにぱたん、と本を閉じた。「よっ」と口にし、机から床に降りる。男は桜の様な色の髪を靡かせ、この本があった本棚に向かった。


梯子(はしご)を使い、高い場所にあった本を戻す。すると体勢を崩し、ぐらり。梯子が傾く。



「わ、ちょっ！」



慌てたがもう遅い。男は梯子と共に落ち、身体を床に打ち付けた。



「いったぁ…！」



とほほ、と打ち付けた場所を摩り、若干涙目になる。桜髪の男が痛みに悶絶して居ると、男に差し伸べる手が、ひとつ。



「えと…あの、大丈夫ですか…！？」



それは眼鏡の女性だった。かなり若く、まだ少女とも云えそうな。彼女は書類の山を片手に持ちつつも、桜髪の男に手を差し伸べたのだ。


彼女は極度の恥ずかしがり屋で、人と話すのが苦手だが…男が心配になり、そう声を掛けたのだ。



「だ、大丈夫！ごめんね？あ、書類持つよ、重いだろ？」



男は笑って、少女の持つ書類を受け取った。



「あ、そ…それは、頼まれて居た物です…！お役に立てたら……」


「うはぁ凄い量！立つ立つ！全部見るよ。ありがとね、オルコットちゃん」



と、男は席に着く。少女の名はルイーザ・メイ・オルコット。組合の一員だ。


然し男は、組合の人間では無い。フィッツジェラルドの依頼により、此処米国に訪れたのだ。



「あ、俺オルコットちゃんが淹れた珈琲が超飲みたい！」


「は、はい！勿論です！直ぐに…！」


彼女は慌ただしく、その場から姿を消した。




「さてさて、吸血鬼君の命運は…と」



男は真っ赤な柄のトランプカードを机にばら撒くと、無作為にカードを一枚引く。



「お、スペードのクイーン！意はアテナ…戦の女神か。矢っ張り彼は持ってるなあ。

成程…これで全部判った」



男は静かに口角を上げた。










「さては生きてんなぁ？レイ・ブラッドベリ」

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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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