君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage９４ ページ44

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初めて見る、レイの泣き顔。ぽたぽたと自分の頬に振る生温い涙に、太宰は言葉を失った。


涙を堪えようとも…堪え切れずに溢れた涙が、情けなく太宰の頬に落ちて濡らして仕舞う。普段決して泣く事の無かったレイが。



「俺は、鴻や、あいつらを、救いたい。それに…『彼奴』に、ごめんなさいをしなくちゃならない。俺のいない『隷属部隊』にはきっと、意味はない」



目を閉じ、そしてゆっくりと開いた。薔薇色の瞳が光る。




「…『考える力』だ、だざい。だから、たのんだ」





＿＿＿＿『考える力』。君がそれを云う時は、大体善い事は起こらない。ずっとそうだった。





「…莫迦、駄目だ、レイ君！」



太宰の声が広間に響いたのと同時に…鈍くて重い音。レイは自ら、杭を自分の心臓に突き刺した。今迄に感じた事の無い激痛が、レイの身体を襲った。



どんな懲罰よりも痛い。血の味が押し寄せ、口の端から鮮血を垂らした。またしても太宰は、大切なものの最後を見る。





「れ、いくん」





「…ぶらっどさん離れしろ、だざい」




苦しいにも関わらず、相変わらずのレイの優しい声に…太宰の眉はハの字に歪む。




「私が…何時、君にくっついたって…云うのさ」




「……さいしょから。ずっと。弟をみてる…そんな気分だった」





驚いたのは、レイがそこで……笑った事。




笑顔ひとつだけ残して、優しき『怪物』は…砂と化して消えた。浮かんで行く砂の粒が、ステンドグラスから入る夕陽に照らされ、きらきらと輝いた。





太宰は仰向けに寝そべったまま、天井に手を向けた。





ふわりふわりと降って来たのは、コバルトブルーの草花。




天井に向けた手でそれを掴み取り、上半身を起こす。




拳を開いて、掌に乗る鮮やかな青の草花を見ていた。




それはオオイヌノフグリと云う草花。花言葉は、






「…信頼、忠実。」





何とも彼らしいものだ。





それで気が付いた。これは……彼なりのメッセージだ。




「…任せてくれ、織田作、レイ君」













＿＿＿＿
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その後、太宰はポートマフィアの首領に掛け合う。




レイ・ブラッドベリは『杭』により死亡。レイの居ない『隷属部隊』はただの負担、荷物。だが必ず使える様にはなる。それ迄は孤児院に送り付けるのが適策。



『隼』は口を割らせ次第、直ぐに処分。そう決まった。





然し太宰は、『隼』の少年を救う。





それは、また…別の話＿＿＿＿。




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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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