君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

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倒れる木々の葉が、風に揺られてさわさわと騒めく。騒乱の後。雷に打たれた木で、ぱちぱちと燃え残る小さな炎。


この小さな炎は、今レイが抱える少女に似ていた。





「あの…ね、お兄ちゃん(・・・・・)」



か細く、少女の声が途切れて聞こえる。漸くレイは、自分の所為だと判った。自分に力が無いから、妹を護れなかった。



「お兄ちゃんの、所為じゃ…ないよ」



幼い頃、何度もレイに助けられたエリオット。今度は、あたしが助ける番だと決めて居た。一瞬、痛みに苦しむ顔を見せて仕舞ったエリオット。




「…お兄ちゃんは、忘れん坊だから…」



「…わすれない、わすれない。だって、まだ生きる。いっしょに」



根拠の無いレイの言葉。時にそれは、温かい物に感じる。こんな時でも駄々をこねる様に首を振る兄を見ると、くすりと笑ってしまう。



エリオットからしか見えない、レイの表情。レイは酷く情けない顔をして居るだろう。




「…あたし、お兄ちゃんが大好き。それだけは、…おぼえていてね」



何時だって強くて、優しいお兄ちゃん。抜けて居る所が多いけれど、そこも好きだった。



レイは言葉を失った。ただ目尻が熱くて、堪えた。それを流して仕舞えば、目の前の妹にまた怒られて仕舞う。




「…会えて、よかった」




少女は笑顔と、涙ひとつを残して…砂と化した。風に吹かれた砂は夜空の星と似ていた。



少女が居た場所には、『杭』だけが残ったまま。




レイはそれを拾った。自分の心臓にも刺してやろう。それも考えた。ふらふらしながら立ち上がり、遠くの太宰達を見た。レイは歩いて、太宰と中原の方へ向かう。跳んで崖を越える。



太宰と中原の前に来る時には、レイは既に無表情。




「…お疲れ様、レイ君。帰ったら血をあげなくちゃね。中也もあげてよ。私一人じゃ足りない」



「はぁ！？んで俺が」



「中也、真逆注射の針が怖いとか？うわァ格好悪う！」



と、中原が動けないのをいい事に、太宰は中原を煽りに煽りまくっては中原に苛立ちを募らせて居た。



「んなわけ無ぇだろ！上等だ！寧ろ直接吸わせてやるよクソ太宰！」



「だってさレイ君」



「なめくじいらない」



レイは首を横にぶんぶん振って中原を拒絶した。レイの蛞蝓発言。笑いに悶える太宰とわなわなと爆発寸前の中原。「手前ら本気で覚えてろ！！」と声を上げた。



レイは中原を背負って拠点まで運ぶ。少しばかり温かさを感じる風が、背を押した。

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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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