君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage８１ ページ31

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「そろそろかな」


太宰が緊迫感のある空気を放つ様に云う。するとそれは予言の如く訪れた。太宰と中原、レイとエリオットの間に、大きな地割れが起こる。


割れ目は轟音を立てて瞬く間に広がった。地震とも云える激しい揺れと共に崖が出来る。



「おいおい、何だこりゃ…！？」



中原が驚くのは無理もない。地割れは更に広がり、崖を幾つも作り上げる。止まらない揺れと地割れ。エリオットは咄嗟に『異能無効空間』を広範囲に生成した。


すると、揺れと地割れはぴたりと収まる。荒れた森の、奥の方から人影。

太宰の云う『脳』が、姿を現したのだ。




「お久し振りです。始祖様。いいえ…始祖を受け継ぎし者。始祖様の仇よ。そして始祖様の力を隷属させるポートマフィアの人の子よ」


銀色の長い髪に、赤い瞳。二世紀前、始祖の配下だった吸血鬼だ。銀髪の吸血鬼は、エリオットに永遠を与えた後…暴走したレイの様子を見て霧になり、気を失ったエリオットを連れて逃げた。


余りにもレイが恐ろしかった。


然し今は違う。銀色の吸血鬼もまた、力を持った。




「戻りなさい、エリオット」




銀髪の吸血鬼はエリオットに手を差し伸べ、微笑んだ。びくりと身体を震わせたエリオットだったが、キッと銀髪の吸血鬼を睨んだ。



少女は、何時だってレイの味方だ。少女が異能無効空間を作り上げて居る間は、異能による闘争は無い。よって、レイと銀髪の吸血鬼の…怪物対決だ。



「おまえ……！」



レイは銀髪の吸血鬼を見詰め、煮え滾る様に云う。レイが思い出した事を、銀髪の吸血鬼は嬉しそうに笑った。だが、





「だれだ」



危うく転びそうになるエリオット。



「『だれだ』ってすごいな。逆からよんでも『だれだ』だ」



レイはまるで、世紀の大発見でもした様に目を輝かせた。これには敵の顔も引き攣る。この会話が太宰に聞こえて居たなら大笑いだ。



「兄さんしっかりして。あの人は兄さんの敵。あたしが空間を維持出来る間に…倒して」



「ぼこぼこか？」



「そう、ぼこぼこ」



エリオットは兄であるレイの扱いに慣れて居る。取り敢えず分かりやすく伝える。以上。




「わかった」



レイのその言葉と共に、薔薇色の瘴気がふわりと浮かび上がる。エリオットの異能無効空間の範囲内の筈が、レイは吸血鬼の力を扱える。その理由は、ただ一つだ。












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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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