君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage５３ luxury liner ページ3

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太宰は目を丸めてレイの横顔を見ていた。暫く固まっていたが、ふ、と力が抜けた様に笑う。



「君は面白い事を云うね」



と、レイの質問を軽く受け流した。


レイにとって、太宰は子供。周りの子供と変わらないのだ。そう、善く泣くあすかとも変わらない。レイにとって大切な人間。


人間、人間と云うが…。この場に『人間』ではない物の匂いがする。それは自分からでは無い。この空間の、奥から…。




「…さがれ、だざい」



太宰の肩を掴んで、無理矢理自分の後ろに引っ張った。自分は太宰の一歩前に踏み出す。太宰の方も「任せた」と云わんばかりに、レイの背後に下がる。



レイが太宰の前に出られるのは、こう云う時だけだ。



再度薔薇色の瘴気が発生する。この瘴気が空間の酸素や二酸化炭素を巻き込んで膨れ上がり、爆発的な暴風を生み出した。



人ならざる物の匂い、と云うのは少し違う。気配はするのだが、匂いがしないのだ。レイは強気の瞳で、気配のする方を見据える。




＿＿＿＿刹那、空間を切り裂く金属音。レイの前に姿を現したのは、武装した『人間』だ。


『人間』が持つ剣が、レイの爪と交じりあった。レイの爪がそれ程に凶器なのだと思い知れる。


レイの回し蹴りが『人間』に炸裂し、背を鉄格子に打ち付ける。レイは無表情で『人間』に近付く。一瞬『人間』から、ビリッと青い電気が漏れた。



「…おまえはだれだ。においもしなければ感触もにんげんじゃない。なんかこう、すごくかたいぞ」



暗闇に光る薔薇色の瞳。暗闇に特化している。それに尖った犬歯。普通の人間ならば、怖気付く所だが。



あの『人間』から漏れだした青い電流。太宰は聞いた事がある。ポートマフィアが保護した企業の中に、武器作りや様々な研究に特化した企業で、『新道財閥』と云う財閥が営む企業があった。


新道財閥は現在、『人造人間』の研究に勤しんで居ると。若しかすれば、今レイが戦って居るのは。







レイの蹴りを喰らっても、立ち上がる人造人間。そろそろレイも限界だ。何が限界かと云うと、理性を保てるかの話だ。


元はレイも人間だったが、獣や化け物、怪物として世紀を渡って来た為、獣の本能が…『暴れたい』と云う本能が止まない。


そうして一瞬の隙に人造人間の首筋に噛み付き、上手く作られた皮膚を引き千切る。一旦距離を取る為に宙返りをして地面に着地し、プッと皮膚を吐き捨てた。



皮膚を千切られ露わになったのは、案の定機械だった。

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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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