君の世界に、意味を与えよう。Act2【文豪ストレイドッグス】

salvage６５ ページ15

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「成程ね。人造人間が」


鴎外と太宰は執務室に戻り、豪華客船での任務の報告をした。


「ええ。レイ君の腕が人造人間の眉間を貫いた途端、人造人間の動きは停止しました。詰まり人造人間の弱点は『眉間』です。となると、必ず眉間を狙撃する『隼』と、何か関係がある」



最近、ポートマフィアを騒がせる『隼』。マフィアの密輸阻害や、マフィアの人員を狙撃したり等、大きな損害を出して居る、神出鬼没で絶対命中率の『隼』。


鴎外は酷く手を焼いていた。



「…そこまで『隼』に辿り着けて居るなら、君に『隼』の件を一任しても善いかな？太宰君」



「判りました」



狙い通りだ。『隼』の件が太宰に任された事で、無駄に『隼』を追う者は出なくなる。レイとの約束通り、『隼』の件を慎重に進める事が出来る。



太宰は僅かに口角を上げた。そのまま鴎外に近付き、懐から何かを取り出した。白い…毛の様な物。



「それは？」



糸にしては純白で、輝かしいそれを太宰は摘んで持って居た。



「レイ君の髪の毛です。抜きました。気付かないのがあの子らしいです」



「いやいや…如何して抜いたんだい」



「鑑定でもして貰おうと思いまして」



太宰は鴎外を背景に、薄笑いで一本の髪を見詰める。たかが
一本だけなのに、こんなにも輝きを放つ髪は初めてだ。



「鑑定？その必要は？」



「…ブラッドベリの一部の人間は、生きている(・・・・・)可能性が高い。
レイ君が生きて居るのは、『吸血鬼の異能』による物。然し私がレイ君に触れても、氷の異能は解け無かった。物質の関係かと疑いましたが、矢張り有り得ない」



太宰は一本の髪を捨てる事無く、また懐に戻した。レイの事だ。髪をくれと云えばくれる筈なのに。



「先代は、レイ君の力で満足した。けれども私は、誰もが知らない…彼自身さえ知らない彼を、知る必要がある。最も、『ブラッドベリ』の様な外見に特徴のある一族ならば、見た瞬間に判ります」



鴎外は困った顔で、頬杖を着いては溜め息を吐いた。太宰が云っているのはあくまで『推測』。だが太宰の推測程正しい物は無い。




「…米国まで行くと云うのかね」




鴎外の問いに、太宰の暗くて深い闇の様な瞳が閉ざされた。目を閉じたまま、太宰は告げる。







「既に居ますよ。健気に兄を追い、この街まで」





太宰の瞼が上がり、鳶色の瞳を露わにした。








「渡す気等更々ありません。例えそれが、彼の帰る場所で在ろうとも」


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ポートマフィア『隷属部隊』隷属者No.01

レイ・ブラッドベリ：音楽界の名家『ブラッドベリ』出身。血が足りて居れば下手に暴れる事は無い為、適度な血の供給を推奨する。＿＿＿＿隷属者No.01『所有者』＿＿＿＿太宰治。

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