salvage41 luxury liner ページ41
_
「今日だね」
赤い絨毯が敷かれた廊下を、レイと太宰は早朝から歩いて居た。廊下の壁にふと目を移すと、初日に見たバイオリニストのポスターが貼られて居た。公演は本日だ。
太宰はポスターに手を伸ばし、無造作にそれを破った。ぐしゃぐしゃに丸めて、近くの塵箱に捨てる。太宰の一部始終を見て居たレイ。
無感情の瞳で、太宰はレイに振り返った。レイも無表情だった。
「…きっと、君が嫌だろうと思って」
それを聞いたレイは無表情のままで、じっと太宰を見据えた。そうして首を傾げて太宰に問う。
「どうしてそうおもう?」
「君が『ブラッドベリ』だからさ」
『Bloodbury』ではなく『Bradbury』だと伝えた所で、直ぐに全貌が判る訳が無いと思って居た。相手が太宰でなければ、全貌は未だ判らないだろう。
そもそもレイが『Bloodbury』となったのは、意味そのものだ。
レイは血を欲する。米国に居て暴れ回る間、世間からは『名も無き怪物』と畏怖され、レイの名前が知れ渡ると『ブラッドベリ』の『ブラッド』は、血の意味に捉えられて仕舞ったのだ。
「…何年もまえのことは、もうわすれた」
レイは赤と黒の燕尾服の長い裾を靡かせて、太宰の横を通り抜けた。あぁ、忘れた。意味が欲しいと手を伸ばした『あの日』よりも前の…、力が欲しいと叫んだ『あの日』の事は。
「一寸レイ君。私より前は歩かないで」
「なんでだ」
「色々あるけど、君は何処に行けば善いか判らないだろう」
太宰の言葉にレイはハッとし、「たしかに」とうんうん頷いた。小走りで太宰の後ろに周り、太宰の背中を押す。
押される太宰も、何時もの事でやる気が出ずに押されるがままにして居た。
「ばいおりん、ききたい」
「公演は十二時からだよ。まだ早い。それに…」
太宰は口を噤む。今日レイに課す任務を云えば、レイは更に嫌がるだろうと思っていた。隷属者に拒否権利は無いが、レイの
『意志』が無ければこの任務は成功しない。
嫌がられては元も子も無いので、太宰は 今云う事を避けようと、口を噤んだのだ。そして別の言葉を探し当てる。
「それに、お腹空かない?」
「すいた」
即答にも程がある。『隷属部隊』としても食い意地としても、
主戦力だ。力も胃袋も怪物。
レイは吸血鬼でもあり人間でもあるので、吸血鬼としての栄養も、人間としての栄養も必要になる面倒な体質だ。
「腹が減っては何とやら、ね。確かに君はそうだ」
_
salvage42 luxury liner→←salvage40 luxury liner
ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
457人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ