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「はい、おしまい」
ひょい、と太宰はレイの手にあったゲーム機器を取った。レイは無表情でじいっと太宰を見上げた。
薄く微笑んでゲーム機器の電源を切る。
「麻薬の匂いを見付けるんだ。出来るね?」
レイはそれに返事をせずに 無言で立ち上がると、そのまま太宰の横を通り過ぎる。この場に居る太宰以外の者は、レイの事を
嫌悪の表情で見る。これが本来の隷属部隊の在るべき姿だ。
幹部とこの距離で会話するなど、あってはならない事だった。
きょろきょろと死体を見渡す。
そうして一体の死体の前で立ち止まり、屈み込んで指を差す。
「こいつだけ、へんな匂いがする」
麻薬探知犬より倍早い発見。レイの嗅覚はかなり信頼して善い。何せ彼は『怪物』なのだから。
「君達は、レイ君が指差してる人物の身元を調べて」
部下達は返事をし、身元の調査に入る。一方のレイは、何か向こうの方を一点に見詰めて居た。獣の様な鋭い目付きで、獲物を狙って居るかの様な。
「だざい」
と、レイは太宰に駆け寄った。
「何だい」
「これ解け、はやく」
太宰の前に両手を出し、自身を拘束する鎖を見せ付けて云った。少しばかり焦燥を見せるレイを見て、太宰は「矢張り来るか」と云わんばかりに口角を上げた。
突如、断末魔。
その方向に目を向けると、一人の部下の眉間が…銃弾で綺麗に撃ち抜かれて居た。狙撃だ。
眉間を貫くこの狙撃は…最近マフィアを悩ませる『隼』と呼ばれる者からの狙撃の特徴であった。
それを見たレイの目が見開いた。
「…はやく!」
焦燥に揺られる高潔な吸血鬼の姿を、もう少し見て居たかった
太宰。然しレイの薔薇色の瞳が成す鋭い目付きに折れたのか…
溜め息を吐いて、端末から解除申請を出す。
すると太宰が持って居る端末から、機械音が流れる。
『レイ・ブラッドベリの拘束解除申請を確認。承諾。解放します』
キン、と音を立て、レイを拘束する両手の錆びた鎖が断ち切れた。すると、狙撃を眩ます様に 周囲に白い霧が大量に発生する。
「いいか、ここから動くな」
『隷属者』が『所有者』に命令するなど、懲罰では済まされない事だ。だが太宰はレイの言葉に頷く。レイに力があるのは事実だ。
少年は霧になり、姿を消した。
「____絶対的捕食者『隼』と、『最古の吸血鬼』か。
勝敗は見えたね」
あの怪物に勝る者が居るとすれば、それは『神』位だろう。
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ポートマフィア『隷属部隊』 隷属者No.01
レイ・ブラッドベリ:身長173cm。体重57kg。非常に強力な異能を有すが、人間の血を必要とする。大人しい印象だが、敵味方関係無く殲滅してしまう事がある。命令違反も多々ある為、扱いは困難。
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χCielχ(プロフ) - 綺弌さん» うわーーーありがとう!それにも続編が笑笑((ぉぉぉぉ楽しみにしてますっっ!! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 姫歌さん» やっと続編できましたありがとうございます…エエッいいんですか!? (2019年3月24日 19時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - 50話到達おめでとう〜(*’ω’ノノ゙☆パチパチ 毎日読むのが楽しみで仕方無かった!! 擬音復唱シリーズ続編の方でも楽しみにしてるね!!← 私の方もあともう少しで公開の準備が整うよ!! (2019年3月24日 17時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 続編のお祝い小説書いていいですか(真顔) (2019年3月24日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 詩歌さん» ひええええうれしいです!ふぉっ、お、乙彦さんですか超うれしいです!!彼が一番格好いい人だと私も思ってます( ˇωˇ ) (2019年3月24日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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