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青髪の人造人間に、銃弾を放った。漸く…漸く此奴を殺せる。と、激しい愉悦に浸った。
だが。
青髪の人造人間の前に青白い障壁が立ち塞がる。これはこの人造人間が展開した壁。この人造人間、異能力を有している。
造られた物体が異能を有するだと?そんな話が。いや、異能実験を施せば或いは機械でも…。
銃弾が防がれる。太宰が人造人間に触れれば万事解決だが、人造人間に近付くなど…太宰にそんな危険な事させられない。
銃弾が効かない。如何する。如何する?
「鴻君!耳を塞ぐんだ!」
叫んだ太宰の方を見ると、太宰は既に耳を塞いで居た。太宰の云う通り、北森も直ぐに耳を塞いだ。
その直後。
耳を刺す様な、激しい耳鳴りが襲って来た。鼓膜が破けて仕舞うのではと云う程の耳鳴り。
然しこの音は耳鳴りでは無く、余りにも攻撃的な音が何処からかしたのだ。その音が耳鳴りに近かった為に、耳鳴りと勘違いをした。
金属的な音が反響し、辺りがビリビリと震える。青髪の人造人間が展開した障壁が、激しい音の反響で割れた。
「うっわぁ…とんだ『遠吠え』だねえ。相変わらず」
そう呟き、若干引き気味になる太宰。太宰も北森も、未だに耳がキンキンと余韻を残して居る。
こんな声が聞こえた。
砂嵐に塗れた、無機質な機械音が何処からか漏れて聞こえて来る。
『レイ・ブラッドベリの拘束解除申請を確認。承諾。
解放します』
火花を散らし、鎖が断ち切れる様な音がした。
太宰と北森の間を、黒い
「お前…」
北森が少年に呼び掛ける。途端に少年は、フッと霧に姿を変えた。またこの異能力だ。
そして再び少年が姿を現した場所は、青髪の人造人間の死角。腕に力を込め、青髪の人造人間の眉間に銃弾の様な拳を叩き込む。
少年の腕が、人造人間の眉間を貫通して居た。バチバチと人造人間の機械から青い電気が漏れ出す。
少年が人造人間の眉間から手を抜くと、どさりと音を立ててそれは倒れた。
首枷や鎖の付いた少年。拳を入れた手の甲を摩り、表情ひとつ変えず、無表情のまま痛そうにして居た。
少年が北森の方に振り返り、早足で近付いて来た。
「…何」
威圧を送るが、少年は怖気付く様子も無い。更には、
「おとしものだ」
と、切り裂かれた赤いミサンガ。それを両手の上に乗せて北森に見せた。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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