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「手出したでしょ」
「出してない」
「はい嘘。目が泳いで居たよ」
とは云え、太宰も閉じ込められていた筈だ。其方こそ本格的に手を出したのではないか?そう思って言い返した。
ぎゃいぎゃいと手を出したの出して居ないだの云い合いが勃発している。敵の本拠地で。
すると、大きく高い音階で鳴り響いた警報の音。捕えた者の脱走を報せる機械音。
「ほぉら君が五月蝿いから気付かれちゃったじゃないか!」
太宰が北森をおちょくる様に云うと、流石の北森も太宰に対して苛立ちを覚える。
「あは、やる気?」
「やってみ給え!」
「無理」
無理に決まって居るだろうと云う眼差しで、けらけらと笑う太宰を睨み付けた。そんな会話をしていると、正面から武装した敵が押し寄せて来る。
あの動き……人造人間か。直ぐさま拳銃を構え、連続で三発程発砲。
北森は一発撃った後、次発砲するまでの間隔が極めて短い。それでいて正確。この青年、狙撃銃より拳銃の方が向いている。そう思うのは…太宰だけだ。
「治くん」
太宰の名を呼びながら、人造人間に向けて二発。青年の顔は見えない。
「治くんの事だから、『人造人間の全停止』の方法調べに来たんでしょ」
新道財閥は人造人間を開発する際に、もし人造人間が暴走した時の為に『全停止』の方法も作り上げて居た。
「おや、正解。何故判ったの」
「判るよ」
どれだけ会いたいと願ったと思って居る。どれだけ大切だと思っている。色々云いたい事は沢山あった。だが簡潔に、判るとだけ伝えた。
「俺なら足止めになるでしょ。だから治くんは俺に声を掛けた。行って」
切なそうに告げた。そうだと思っていた。それで善かった。ただ君の傍に居れるのならば。
完璧な作り笑いを顔に貼り付け、顔だけを太宰の方に振り返らせた。
「……それは違うよ。私は、君に」
太宰が云い掛ける。然し、その太宰の顔が焦燥で埋もれた。太宰が「鴻君」と声を発す前に、北森の身体は吹き飛ばされ、壁にぶち当たる。
北森の口の端から血が零れる。何奴も此奴も内臓ばかりを狙いやがる。北森はふらふらと立ち上がり、口角を釣り上げた。それはそれは、とても楽しそうに。
「…あは、あはは。ねえ、ねえ。また会ったね?」
北森の身体を吹き飛ばしたのは、あの青髪の人造人間だった。
その人に、指一本でも触れてみろ。その四肢残らず抉り落としてやる。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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