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「ぶぇっきし!!」
北森が
「五月蝿ェ!!ちったァ抑えろ!」
外見にそぐわない北森の品のない嚔に若干引き気味の中原は、昇降機の端へ逃げる。
「これでも抑えてるんだけど…寒くない?」
二の腕を摩り、寒さを訴える。今の北森の格好が薄着だ。
ばっちり動き易い仕事服。
「手前のその格好が薄いからだろ」
「あは、似合う?」
敢えて北森は、普段通り接した。少し気不味くなる中原。誤魔化す様に目を逸らし、話を続ける。
「まァ…靴の感性は善いと思うぜ」
「本当?これ治くんが選んだんだよ」
「矢っ張り最悪だな」
中原の変わり様に、北森はくすりと笑った。そうして黙り込み、小さくなって行く横浜の景色を眺めた。
綺麗にライトアップされた大観覧車。向こうへと繋がれる横浜ベイブリッジ。住宅の明かりも飾りの様に輝く。
本当に、本当に美しい街だ。
この街に、どれだけ自分が似つかわしく無い…穢れた存在なのかを叩き付けられる。
「着いたぞ」
扉が開き、「降りろ」と中原が顎で示した。北森は素直に従い、昇降機を降りる。
降りた途端に判った。この階がより一層暗くて冷たくて、重い
雰囲気を漂わせて居る。
また、中原の背を追う。
長い廊下を、無言で歩く。
何台もの監視カメラが設置されて居たり、警備もより一層固められている。警備の黒服達は中原の姿を捉えると敬礼を送った。
中原が大きな扉の前で立ち止まると、帽子を取って胸に当てた。
コンコン、とノックをした。
「首領、中原です」
中原の敬語など聞いた事が無かったので、何だか少し新鮮な気になる。
然し部屋の中から返事が無く、中原は扉に耳を当てて澄まし、苦い顔をした。此処は入らないのが善いのだろうが、事態は一刻を争うと首領本人が云っていた。
「…北森」
「何」
「あんま見るなよ」
そう何か保険を掛ける様に、北森に云った。勿論何の事か判る訳も無く、疑問符を浮かべた様な顔をする。
「首領、入ります」
意を決した様に中原が大きな扉を開けた。
「追い詰めたぞぉ〜、もう逃げられ無いよお!観念して着ておくれ!お願い!」
「キモイ!」
デレデレしながら真紅のドレスを持って幼女を部屋の角に追い詰める男性と、「キモイ」と罵る 服がはだけた幼女の姿。
凝視してしまった北森。静かに目を瞑った。
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【要】注意異能力者
北森鴻:十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで!!会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、!このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年12月23日 21時) (レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました!それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます!!!!!面白いといっていただけて何よりです!! (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…!連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません!!ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです!! (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です!本当にありがとうございます! (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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