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「…ごほん、『隼』君。君は何も見て居ない。善いね？」
如何すれば善いか判らず、北森はちらりと中原を見た。
中原は小さく頷いた。
「…や、何の事ですかね？」
善い判断だ。北森が賢くて助かる。中原は心底安堵した。
然し鮮明に記憶している。絶大な勢力を持つポートマフィアの
首領、森鷗外が幼女を脱がせて部屋を追いかけ回して居たとは。
「中也君に君を連れて来て貰ったのは、提案があるからだ」
何事も無かったかの様に凛々しく話を進めて行くので、吹き出しそうになる。耐えろと中原の視線が痛い。此処こそ演じろ。
「何ですか」
満面に笑顔を作り、失礼な笑いを出さぬ様に堪えた。
「如何だい？マフィアに入る気は無いかね？丁度今は、狙撃手も人手不足でね」
それは勧誘。ポートマフィア首領…直々の。
「異能も中々に有能だと聞いて居るよ。何せ私の勧誘だ。地位も保証しよう」
北森は唖然とし、返す言葉が見つから無かった。然し断らなければ。
「…断ったら？」
最悪な答えが返って来ないで欲しいと願い、北森は作り笑顔を演じ続けた。
「質問を変えよう」
鷗外が机に両肘を着き、指を絡めて云う。
「探偵社を、太宰君を救いたくは無いかね」
鷗外は、青年が太宰に対しどれ程の執着を持って居るか知って居る。敢えて『太宰』と云う名を出すだけで、青年は動く。
「…如何して。探偵社が危ないとでも云うの」
「探偵社だけでは無いよ。この街に生ける異能力者全て断崖絶壁に立たされて居る。それはいずれ世界にも広がるだろう」
新道財閥と深い関わりを持って居たマフィアの首領。人造人間については鷗外にのみ知らされて居た。その製造数が、数が、如何な物とも。
養子ではあるが生き残りの北森と、鷗外のみがそれを知って居た。
「静かに放って置けば、全部は動かない」
「動くんだ。全て」
先程相手にした人造人間は、未完成の欠落品。
完全な人造人間が大量に動くとなれば、それは相当拙い。異能力者だけでなく住民も建物も何もかも全て巻き込む。
人造人間は、身体能力も高く設定してあれば頭脳もある。
鷗外の話によると、ある敵組織が人造人間の保管場所と起動の仕方を入手し、猛威を奮っていると云う話だった。
一体如何やって。
「…はっ。それと俺のマフィアの加入に、何の関わりがあるんですか」
鷗外は不気味に笑った。
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【要】注意異能力者
北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで！！会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、！このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます！！！ (2022年12月23日 21時) (
レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました！それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます！！！！！面白いといっていただけて何よりです！！ (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…！連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません！！ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです！！ (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です！本当にありがとうございます！ (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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