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「おいおい、やらねェとやられちまうぜ？」
中原は手を懐中に入れ、足で玩具を転がす様に青年の腹部を蹴り飛ばす。
「ぐ、ぅ…！」
まともに息も出来ないまま、更に中原の強い蹴りを喰らう。力が入らない。然し太宰から貰った拳銃を離そうとはしない。中原に向ける訳でもなく。
口の端から血が溢れ、掠れる目で中原を見上げた。中原の顔は本気だ。本気で『隼』を。
「大サービスだ。俺は異能を使わねえ。手前は銃を使え」
先程頭を強く打った所為か、手を使って上半身を起こすと、額から鮮血がボタボタと地面に垂れた。
額に手を触れると、生暖かい血が着いた。手の甲でそれを拭って、ふらふらと立ち上がる。
青年の瞳に、強い意志が宿った。
「はっ、そう来なくッちゃあな！」
またしても一瞬で距離を詰められる。青年はそれを読んだ。身を屈ませて上半身に来る蹴りを避ける。
次は打拳。顔を傾けてそれを避ける。反撃の隙は一切無い。
後退りながら打撃を避けて居ると、ふらつく足が地面とつっかえて体勢を崩した。
中原はその一瞬で青年の首を掴み、地面に叩き付けた。漸くまともに青年の顔が見れた。
その顔は酷く苦しそうで、切なそうだった。四年前は、顔を見なくても感情の無い無慈悲な奴だと判ったが…それが如何だ。
四年間中原と関わりを持った青年は、中原に溢れる感情を見せる様になった。
「……い、やだ…！」
首を締める中原の手に触れ、何とも云えない表情で、青年は云った。
「なかはら、くんと…戦うのは、俺…いやだ…！」
目尻から涙が溢れる。然し種を撒いたのは北森だ。中原に嘘を吐いたのは自分だ。
「「嫌」だァ？手前自分の立場が判ってンのか」
青年の首を締める手に、更に力が入る。
北森が勤務するコンビニに足を運んだのも、北森の大会に応援に行ったのも、全て嘘では無い。
『友人』みたいだと何度も思った。
然し青年が、『隼』が銃を扱った。その情報がマフィアに流れ、森鷗外の耳にも届く。
ポートマフィアにとって、首領の命令は絶対だ。
「悪ィな、これが俺の仕事だ」
「ちゅう、や…くん、」
締める手が、緩んだ。
その瞬間…ぱん！と発砲音がした。
北森の銃からの発砲音。
仕舞った。何処かを撃たれたと思ったが…何処にも痛みを感じなかった。
青年の顔を見ると、青年は笑って居た。
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【要】注意異能力者
北森鴻：十九歳。身長167cm、体重52kg。性格、異能力共に危険性があると判明。条件が揃えば、接触せずとも相手を手に掛ける事が可能な異能を持つ。
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抹茶ラテ - ふと見つけて読んでみたら凄く面白くてなかなか長文物を読まない私でも気づいたら完結の所まで！！会話文や文構成が上手で途中感動でついうるッと来てしまう場面もありました、、！このような素晴らしい小説を書いて下さりありがとうございます！！！ (2022年12月23日 21時) (
レス) @page50 id: c4a8adec94 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 九十九天斗さん» 久しぶりにここにきました！それ故に返信遅れてごめんなさい、見つけて下さりありがとうございます！！！！！面白いといっていただけて何よりです！！ (2021年12月31日 2時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
九十九天斗(プロフ) - たまたま見つけて面白すぎてここまで読み進めてしまいました…！連載中に知りたかった… (2021年11月27日 0時) (レス) id: a6414a60a8 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 永衣さん» お返事が遅くなり申し訳ありません！！ハワ…嬉しいですありがとうございます…作品を書いていて本当に良かったです！！ (2021年10月14日 3時) (レス) @page46 id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
永衣(プロフ) - 連載していたころから読んでました。ふとした時に読みたくなって戻ってきます、いつ見ても最高です！本当にありがとうございます！ (2021年9月13日 11時) (レス) id: d90c12946e (このIDを非表示/違反報告)
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