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「…何しているんですか、太宰君は」
そう云ってバーに入って来たのは、丸眼鏡の男性、坂口安吾だ。
バーに入ったや否や、太宰と見た事のない少年、北森がウイスキーのボトルを取り合って居たのだ。
「だーかーら!!駄目だって云ってるでしょ?!返して!」
ボトルを太宰から取り返そうとする北森。
「今に始まった事ではないのだよ…!」
子供の様に、それを奪おうとする…絶大な勢力を持って闇を取り仕切る組織、ポートマフィアの幹部。
「説明しなくては駄目か?」
織田が杯の中の氷をカランと揺らしながら、安吾に云った。
「駄目でしょう…如何なってるんです?」
「太宰が未成年だって知って、
「あぁ…そんな事ですか。彼は鴻、と云うんですか?」
と、安吾はカウンター席に腰掛ける。死闘を繰り広げている太宰と北森は、安吾の存在にまだ気付いて居ない。
「あぁ、北森鴻と云うらしい」
「未成年の飲酒は、身長が伸びなくなるんだって知らないの!?」
それも笑顔を含みながら云う。器用な少年だ。
「あぁ、だから君も中也も小さいのだね。悪いけど私は充分高いから。ごめんね」
「飲みすぎて死ねばいいのに…!」
「だったらこのウイスキーで洗剤割りを作ってくれ給え!」
丁度 太宰の死にたがりと、北森の口の悪さがお互いに発覚した所でもある。
「あ…あれ、いらっしゃいませ…?すんません、お見苦しい所を」
やっと北森が、安吾の存在に気付いたのだ。奪い合っていたウイスキーのボトルを北森が離した。
その隙を狙って、太宰は自分の杯にウイスキーを注いだ。
「あ、もう…!俺知らないからね。治くん」
太宰の飲酒阻止を諦め、北森は安吾に視線を移した。
「太宰君には困りますね、貴方も。では僕は」
「ゴールデンフィズ、ですよね?」
少年は笑い、安吾の好きなカクテルを迷わず当てた。その通り、安吾が好きなカクテルだった為驚いた。
「ええ…はい」
「流石に、常連さんの好きなカクテルとか、好きな味とか…下働きの俺でも判りますよ」
北森は、太宰、織田、坂口がこの店で集まる事も、好きな酒も、味も把握していた。
マスターにも、三人の話は聞いていたからだ。
仲の善い三人だと。
「どうぞ、眼鏡のお兄さん」
「坂口です。どうも、北森君」
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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