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更に、それから時間が経った頃。
北森は関東大会入賞。
インターハイに出場した。関東大会で怪我を患い、出場は難しいとされていた。高校三年生の最後の大会だった。顧問の反対を押し切り、出場した。
然し、そこで自己ベストを更新した。北森は全国三位に入賞。
何を隠そう、此処まで彼を動かしたのは…太宰を始め、バーで
出会った三人の事だ。
インターハイを終え、北森は陸上部を引退した。
夜遅い時間帯。コンビニのレジで暇そうにしていた北森の目の前に来たのは、中原だった。
「よう」
「あぁ…中原くんまた来たの。今日は何?白ワイン?」
中原は違うと首を振り、ドンと差し入れの様なものを北森の目の前に置いた。なんの風の吹き回しだ?中原が差し入れをした事などこの二年で一度も無かったのに。
「え…何?怖」
「おめでとう」
中原が云った。なんの事だ?北森は頭に疑問符を浮かべる。その様子に中原は笑い、
「手前忘れたのかよ?インターハイ三位入賞だろうが」
それを聞いた瞬間、北森の顔がぼふっと真っ赤になる。
北森は、しょっちゅうコンビニに来る中原に対しては、少しだけ表情を見せる。
「な…何で知ってんの」
「そりゃ、仕事の合間に見に行ったからな」
中原も幹部となり、更に忙しい毎日を送っていた筈だ。それなのに態々北森の大会を見に来てくれたのだ。
「あと新聞に載ってたぞ。部下が読んでたヤツ」
「いや、載らなかったら新聞社行って爆発させるよ」
それが、唯一太宰に自分を知らせる方法だったからだ。もしかしたら地下でも、新聞くらいなら読めるのではないかと思っていた。
その後も中原は北森の背を叩き、格好善かったじゃねえか!など云ってくれた。大方、普段見れない北森の赤面顔を拝む為だろう。
「…ありがとう」
普段素直ではない北森が素直に礼を云うと、中原は若干引いた顔で一歩後ろに足を引く。
「何だ手前…気色悪いな」
「あは、酷いなぁ」
面識の多い中原でさえ、北森が隔てる壁は越えられない。どれだけ太宰が凄いか、癪だが中原は実感する。
「そういやリレーも見たぞ」
「見ないで」
「見ないでって云われてもなァ?見ちまったもんは仕方がねぇ」
北森は深い溜め息を吐いた。勿論中原には凄く感謝をしている。
けれど、どうせなら…。
「治くんにも見て欲しかったな」
太宰バカを拗らせる一方だ。
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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