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暗い地下に響いた打撃音。
「ん…!ぐ、」
既に拷問を終えた時間帯。本日も何も吐かず終いの北森は、
牢獄で枷に繋がれたまま、看守の黒服達に暴力を浴びせられていた。
「おい、此奴やっと鳴いたぜ」
「今拷問すれば吐くんじゃないか?相当な手柄になるぞ」
銃弾で撃ち抜かれた腹部に蹴りが命中し、激痛に声を漏らさずには居られなかった。
北森には抵抗をする気力も無かった。
「とっとと吐け、『隼』」
黒服の男の重い蹴りが、北森の腹部に落ちる。
「…っ」
蹴られた途端、血の味が押し寄せた。余りにも気持ち悪くて吐いた。床に真っ赤な鮮血が媚り付く。
あぁ死にたい。こんな何の意味も無い世界なんて要らない。
ただ一つ心残りがあるとすれば、織田の贈り物を二人に渡せずに終わってしまうと云う事。
「その子に余計な事はするなって、云って置いた筈だけど?」
低い声。絶対零度の権力者の声。
元々冷たい地下が、氷点下に下がった気がする程の威厳。
「太宰幹部!」
二人の看守の黒服は、ビシッと背筋を伸ばした。
「退いて」
太宰は牢の入口に立つ黒服に強く云い放った。然し、退けば太宰が『隼』に何をされるか知ったものでは無い。
黒服達は太宰の安全の為、必死に太宰を止めようとした。
「退け」
太宰の瞳に精神を殺されかけた。震え上がる黒服達は、有無を云わずに退いた。
「おやおや、随分荒れ果てた姿だねぇ…北森君」
北森は、太宰と目を合わせようとはしなかった。北森に意志は無かった。冷たい床に転がる、傷付いた人形の様だった。
太宰は屈み、少年の頬に触れた。まだ新しい血が、太宰の指先に付着した。
「隼…。高潔で、高貴な鳥類。そんな君が、此処まで荒れてしまうとは」
念願の太宰との再開だった。然し、北森の瞳に太宰は捉えられて居ない。
「北森君、私だよ。此方を見てご覧」
その声に、反応は無い。
彼を、これ程までに壊した覚えはない。対話すら出来なくした覚えなど微塵もない。
ならば原因は一つだ。
「…ねぇ、君達」
太宰は牢獄の外の、看守の二人に振り返らずに云う。
「彼に、何を吹き込んだの?」
「い…いえ、何も、」
「莫迦、素直に云った方が身の為だぞ」
焦る片方の黒服を肘でつついて、もう片方の黒服は耳打ちをした。
彼等が北森に云った言葉。
それは、
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χCielχ(プロフ) - 桜月さん» 昔の作品ですが、自分でも書いててすごく楽しかった思い出があります😌キャラの濃い夢主君でしたが楽しんでいただけたようで何よりでございます!出会うことが出来て良かった作品と言っていただけて本当に嬉しいです、見つけてくれて有難うございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 北森くんと太宰さんの関係が少しせつないけれど、、でも微笑ましくて、、腹黒で太宰さんloveな素の北森くんがとっても最高でした!!本当に涙なしでは読めなくらい感動しました!このような素敵な作品や北森くんに出会うことができて本当に良かったです!大好きです!! (2021年11月18日 21時) (レス) id: 125cb29da4 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» その三人ともちろん安吾さんも北森の大事な人になっています!!北森はめちゃくちゃ意地悪な子ですへへへへ...!黒の時代のミミックと対峙した所は原作、それ以外は全てオリジナルでございます!約9割ほどがオリジナルかと思われます!続編は完全オリジナルです!!! (2019年9月11日 22時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 北森くんの心を、太宰さん、織田作之助さん、中也さんの、三人でとかす物語ですね。北森くんの性格はおもぃっ切り意地悪のようですね汗。原作沿いのようですが?とりあえずハッピーエンドで続編ですね。余談?マフィアが、マリオカートで勝負って笑笑。 (2019年9月11日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 刹那さん» すすすす全て!?ありがとうございます…!こーくんですか!依存すごいですがありがとうございます嬉しいです! (2019年4月21日 14時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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