文豪共、酔い潰れて溺れろ。【文豪ストレイドッグス】−黒の時代−

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「何が寝癖野郎ですかこの…っ、変な帽子！」



「ダセェ寝癖を指摘してやったんだろうがクソ餓鬼！」




中原と北森は言い合い、一位と二位を争っていた。



抜いたり抜かしたり、罵詈雑言をお互いに交わしながら、カーゲームをしているのだ。




「落ちちゃえよ莫ぁー迦！」




北森は先程の様に、中原の車体に当たった。




「手前下手糞か！落ちるだろうが阿呆！」




北森の性格の悪さが発覚した。北森はこの方法で勝ってきたのだ。不意打ち体当たりの暴力だ。




「教えてあげるよ、勝てばいいんだよ勝てば！」



「性根の腐った餓鬼だな！」





ゴールの手前。



北森が取ったアイテムは、速度が速くなるアイテム。


中原が取ったアイテムは、果物の皮。





「ふ…っ、あははは！さようなら素敵な帽子！」



「手前卑怯だぞ！んなの運じゃねえか！ゲッスい顔すんな！」




「運も実力のうちだよ」




先にゴールテープを切ったのは、北森だった。



太宰と賭けている時点で、北森の勝利は明確だった。




「畜生…何だよこのゲーム、壊れてんだろ」



「元気出して下さい」




北森から、先程の無邪気さは無かった。笑顔が貼り付いた仮面人形の様なものに戻っていた。




余りの変わりように、思わず中原は云ってしまった。



「…いや、手前先刻楽しそうにしてたよな？」




「してません、勝てると思ってたし」




この餓鬼。









「やぁ、勝負は付いたかい中也？」




それは、昨日散々聞いた声。長身の黒髪蓬髪。包帯だらけのその身体。


昨日と違うとすれば、それは黒い外套ではなく私服を着ていたと云う事だ。




それもその筈か。こんな朝っぱらから、人通りの多い街のど真ん中で、あんな格好はしない。





「あァ…この餓鬼の勝ちだよ、嘘吐いても手前にゃ効かねえ
だろうしな」






「流石は北森君だ！」





太宰がそう云うと、中原は硬直した。





「器用で腹黒い人って、ゲームが上手いって聞いたからね。
単純な中也に勝てると思っていたよ」




北森の手は太宰に取られ、まるで握手をする様にぶんぶん振られた。



近くで見ても、やはり太宰はかなり端正な顔立ちをしている。






「あは…治くん、痛い」




「おさむくん、だ…？」




中原が状況を理解した。





「謀(はか)ったな太宰ィィ！！」




「謀ってないよ、偶然彼が此処に居たのだよ。君の負けは負けだ」




太宰は、愉快そうにしていた。






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