第六十七舞『慫慂の役割』 ページ17
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太宰は、アイザックの背中を押して玄関に入った。
「ちょ、何だよ!押すな」
「善いから、見れば判るよ」
玄関を上がって寝室の方へ行くと…
かさかさ、と黒光りした物体が物凄い速さで横切った。
「いいいぃぃ!?」
アイザックが変に叫ぶと、太宰は笑う。
「あははは!本当君は昔から
太宰はアイザックを盾にし、蜚蠊に近づく。
「掴むな離せ!やんのか張っ倒すぞ!!」
「はいはい、やらないやらなァい」
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アイザックが短刀を命中させ、蜚蠊を退治した。
眉を顰め、不機嫌そうな顔をして、太宰と目を合わそうとしない。
「ご免ご免、君って怖い物とか少ないからさ」
「もうその短刀使えないし、新しいの買わなくちゃならない」
アイザックはそう云いながら、淡々と
「アイザ君、何書いてるの?」
太宰がそれを覗き込むと、アイザックは太宰の顔面に枕を押し付けた。
「見んなよ」
キッ、と鋭い目付きで太宰に云い、太宰は枕を抱き締めて口を尖らせた。
「えぇ〜、気になるじゃないか。如何しても駄目なのかい?」
太宰が子供の様に駄々をこねるので、アイザックは一瞬悩んだ。
悩んだ末、結論はこうだ。
「駄、目!」
執拗い太宰に、強調して云う。
「アイザ君の
太宰がこの様に、怒られると知って悪口を云う理由は、単にアイザックの反応が愉しいからである。
すると、アイザックの持っていた筆が盛大に折れた。
「わお、国木田君と同じ位の握力かい?」
「誰が微塵子だよ、俺は普通だ!あんたが高いだけだろ!」
近所迷惑と云えるほど大きな声を出した。
そして、自分が書いていた冊を太宰に投げ渡す。
「え?見ていいの?」
「それの四
太宰に渡した冊を指差して、念を押す。
「読み終わったら、内容を猫好き社長さんに伝えて。
あと……、これ」
今度は手渡しで、太宰にある物を渡す。
「この役目だけは…俺にとって、あんたしか居ない」
太宰が渡されたものを見ると、
それは、空の注射器だった。
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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