第九十一舞『デウスエクスマキナ』 ページ41
_
「おい、嘘だよな?」
「嘘じゃねェ。飛び降りるぞ」
「無理、俺本当に海に落ちるとか無理だから」
なんと中原は、異能兵器の内部の入口である尾の部分へ、この高さから飛び降りようと云うのだ。
「ゴチャゴチャ五月蝿ェ!時間がねえンだ、行くぞ!」
中原は嫌がるアイザックを鷲掴みにし、ヘリから飛び降りた。
「莫迦コラ!莫迦ァー!!」
とアイザックは嘆き、もう如何にでもなれなんて思ってしまった。
海に着水する…!とぎゅっと目を瞑った瞬間、ふわりと身体が浮いた。
「目ェ開けろ、アイザック」
恐る恐る目を開けると、海水にすら触れて居なかった。
アイザックは、胸を撫で下ろした。
「にしても、クソが出る部分が入口ッてのも気が引けるな」
「やめろよ、折角意識して無かったのに」
そう意識し始めると入り辛くなるが、仕方なく入りざるを得なかった。
異能兵器『ロア』の内部に入ると、真っ白な床、壁…様々な機械がずらりと並んで居た。
アイザックが耳に手を当て、ドストエフスキーとの通信を図った。
「おい、何してンだ」
アイザックは中原の質問に応える事無く、アイザックは無言で
中原に視線をやった後、軽く頷いた。
「…中也、あんたは此処を頼む」
咄嗟に呼んだ中也と云う名前に違和感が無かったのは…マフィアに居た頃、中原の事を「中也」と呼んで居たからだ。
当時は体術を中原から学んだり、兄弟の様に接して居たその
名残りが、ふとアイザックの口から出たのだ。
中原は名前呼びに気付いたが、当のアイザックは気付いては居なかった。
「まァ…善いけどよ。手前独りで何が出来る」
「…独りじゃないんだな、それが」
アイザックが云った瞬間、異能兵器内部で警報が鳴った。
「シンニュウシャ、侵入者、ハイジョセヨ排除セヨ排除セヨ排除セヨ」
すると、周りの白いシェルターが がらりと開き、数え切れない程の、人の形をした様な機械兵器が出て来た。
「ちぃ、こんなに居るのかよ…矢っ張り俺も此処に」
アイザックの言葉を遮る様に、中原はアイザックの背中をトンと押した。そしてこう告げるのだ。
「行け。俺を舐めて貰ッちゃあ困るぜ、兄弟」
返事をしようとしたが、重力で思い切り遠くまで飛ばされた。
道が開けた。
アイザックは遠くの見えない中原を見詰め、耐え忍ぶ様に走り出した。
_
第九十ニ舞『スピットファイア』→←第九十舞『カタストロフィ』
要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
428人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ