第七十五舞『躍動せよ戦慄』 ページ25
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とある建物の五階。
洒落た雰囲気の店内。『うずまき』の優しい匂いとは少し違った…大人びた珈琲の匂い。
店内は客が多いが、混んでいると云う程では無い。
扉を開けて入店したのは、金髪赤目の、片目が前髪で隠れた青年。
中々に整った顔立ちと、異国の青年の様な感じ。
珍しい青年に、店内の客の殆どが彼を二度見した。
青年は店員に案内され、席に着いた所、「ご注文はお決まりですか?」と聞かれる。
青年は首を横に振ると、窓から横浜の景色を眺め始めた。
「ねぇねぇ、あの人…話し掛ける?」
「無理だよ、英語全然話せないし!」
ひそひそと話したのは、制服を身にまとった少女達。
お洒落なこの店は、学生にも人気だ。
ふと、鼻についた煙たい煙草の匂い。
店内に喫煙席は無かった筈だった。
先刻の金髪の青年を見て、心を躍らせていた少女達の顔は…何時の間にか嫌悪の表情に変わっていた。
全面禁煙の店内で、煙草を吸う男が居たのだ。
男の腕には刺青、鍛えられた身体。止めようにも、怖くて誰も
何も云えない状況で居る。
煙草を吸う男が席を立ち、店内を歩いた。
男は態とらしく、別の客が座って居た机に足を強くぶつける。
その反動で、その机の上にあった珈琲の杯が落ちる。
男はこう云うのだ。
「あぁ?悪いなぁ。ぶつかっただけだ」
不快になりそうな笑みで、煙草の男は云った。
当たられた方の男は、酷く貧弱そうだった。
顔もあまり血色が無く、雪国にでも居そうなその男。
煙草の男は、態と貧弱そうな男を選んだ。
しかし、貧弱男は怯える様子も無く、不敵な笑みでこう返す。
「いえ、こちらこそ」
さらりとした黒髪、紫色の瞳をした男。この彼も、異国の人間だと判った。
「そんでお前、俺はぶつかっただけっつーのに、この仕打ちだぜ?」
煙草の男の足元を見ると、高そうな靴やズボンの裾に熱い珈琲が掛かって居た。
黒髪の男は落ち着いた様子で、笑顔のまま相手を見上げる。
「それは、この国で云う『自業自得』と云うものでは?」
腹を立てた煙草の男は、彼に掴み掛かって顔を殴ろうとした。
黒髪の男は、口角を上げた。
瞬間、煙草の男は 金髪の青年の蹴りによって低空を舞った。
「あぁ…悪い。俺も
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要注意異能力者____内務省異能特務課より。
アイザック・バシェヴィス・シンガー:身長 169cm、体重 53kg。横浜のゴロツキ。非好戦的だが、気が短い。民間人に危害を加えた事例は無いが、我々は監視を続ける必要がある。
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χCielχ(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます!アイザックはしかも望んでない体質ですからね…!!実はこの異能兵器、考案した奴はシンガーじゃないんですよ…さて誰でしょう…??((激辛カレーは五分五分ですかね!!!?? (2019年10月1日 19時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アイザック編を、読み切りました。アイザックさんも、厄介な体質ですね汗。とんでもな異能兵器の発動で、冷や汗でしたが、なんで良かったです。余談、激辛カレー勝負の行方や、いかに!?(笑)。二人とも、口から火を吹くか!??。(笑) (2019年9月28日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - リアさん» ありがとうございました!カレーは…そうですね、二人とも1口目でギブしてそうです笑笑 (2019年7月16日 21時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - カレーの勝敗気になりますwwとても面白かったです!(^^) (2019年7月4日 0時) (レス) id: f94faaa2fc (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 翠柘榴さん» わーー!!ありがとうございます!見てくださったんですね…!!おっふ短気ゴリラアイザックがお世話になりました…((ひえええ勿体ないお言葉です、ありがとうございました!!!! (2019年5月23日 0時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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