【文スト】霊感持ちの異能力者は毎日大変です。2

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雨森 side


｢…なら、ただ純粋に 知りたいと思える相手は居るかい？｣

酷い言い方をしたのに、相変わらずの穏やかな声で 彼は問う。

『純粋、に……知りたい？』

｢ああ。恋愛感情が無くても、もっと親しくなりたいと思える相手は居るかい？｣

『もっと親しく…』


そう言われて、少し考えた。
探偵社のみんなとは仲も良いし、ポートマフィアの人達とも それなりに友好関係は築けている……と思う。

でも よく考えてみると……。

私を抱き締めている彼の事を、私はあまり知らないと思った。

口を開けば心中心中。
蟹が好きで犬が嫌い、あと元相棒も嫌ってる。
そして 料理が壊滅的に下手な元・ポートマフィア幹部……か。

うん、意外と知ってた。


けれど…人間性的な面は、あまり知らない……かな。

いつもニコニコ笑ってる人、そんな印象。
どんな時でも笑ってる。(ちょっとしたホラー)


｢どうだい？居たかな？｣

『強いて言うなら…太宰さんの事が、気になるかもです』

｢うんうん、そっかそっ、か……え？｣

『まだ知らない事が多そうですし…時々見せる暗さも気になります』

｢え、あの、Aちゃ｣

『偶にある 寂しそうな顔とか…子供っぽい面とか』

｢ちょっと待って｣

『素で見せる優しさとか』

｢待って！？｣

『何ですか』


振り返って表情(カオ)を伺おうとしても、前に戻されて見せてくれない。
チラリと一瞬見えた耳は 少し赤かった気がした。

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