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No side


──ガチャリ、と探偵社の扉が開かれる。


何食わぬ顔で入ってきたのは A。
ふわりと黒いスカァトを揺らし 自分のデスクへと向かった。


「おい、A!23分18秒の遅刻だぞ!」


鬼の形相で前に立ちはだかる国木田の額には、若干青筋が浮かんでいる。
何故か関係の無いヘタレ組は隅の方で震えているが 気にしないでおこう。

その声に顔を上げたAの瞳は 涙で揺れていた。


「…は?」

国木田の声と、探偵社員の心の声が合わさる。


『ごっ、ごめんなさい……。蹲っている方が居て…放っておけなかったんです…!』

潤む瞳で国木田を見つめ 謝罪する。

一同はポカーンとした顔で見つめるものの、驚き過ぎて声が出ていない。


「あ、否、そのだな…遅れるようなら連絡の1つくらい」

『本当にごめんなさい!』

勢いよく頭を下げ、謝罪の言葉を繰り返す。
そんなに謝られては 幾ら国木田とはいえ、気が抜ける。


「今度から…気を付けるんだぞ」

『はいっ!』


満面の笑みを浮かべ、国木田の手を取り 微笑む。


『お優しいですね…』


語尾にハァトが付きそうなほど 柔らかな声色で呟く。

途中の時点で、国木田は混乱と疲労で気を失いかけていた。
そして、今の行動により 意識がシャットダウンされ 気絶。
医務室の寝台へと運ばれる事になる。

─────
───


皆は 未知の生物を見るような目で、医務室の扉からAを見ていた。

「何ですか…あのAちゃんは」


少し怯えた様な表情で与謝野に問うのは敦。
普段とは似ても似つかないAの姿に、混乱を隠せないようだ。

鏡花も怯えた様子で、敦の後ろに隠れながら様子を伺っていた。


「さァねぇ…妾にも分からないよ」

「でも、心做しか不自然ですよね…」

「不自然ですか?」


ポツリと呟いた谷崎の言葉に 賢治が反応する。


「うん、何て云うか……本当に別人みたいで」

「別人……確かにねェ」


方向話していると、太宰が意気揚々と扉を開けて入ってくる。
そして、Aに後ろから抱き着いた。

「おはよう、Aちゃん!」

『ふふ、おはようございます太宰さん。けど もうお昼過ぎですよ』


この瞬間 敦と谷崎が倒れた。

普段ならば張り倒すか殴るかの何方かであるため、この返しは異常以外の何ものでも無い。

太宰も違和感を覚えたのか、何時もは怒鳴られても 軽蔑の眼差しを送られても 脛を蹴られても離れないのに
今日は パッと離れた。

*→←鳶色の瞳が見つめるモノは



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月華(プロフ) - 月瀬さん、お久しぶりです!更新の事は気にせず、ゆっくりと休んでください!大好きな月瀬さんのお体と心方が、凄く大事ですから! (2020年1月27日 12時) (レス) id: 158c59c866 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 沙世さん» リクエストありがとうございます!ぜひ書かせていただきます! (2020年1月10日 0時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
沙世(プロフ) - 乱歩さんと特大パフェを食べる話が読みたいです。リクエスト失礼します。 (2020年1月9日 23時) (レス) id: c4b11a12c3 (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - るをさん» 了解です! (2020年1月8日 12時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
るを - 月瀬さん» できれば中原さんの反応も見たいです。できればなので書かなくても大丈夫です。他はとくにないです。 (2020年1月8日 12時) (レス) id: 2605d8b47c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まふ | 作成日時:2019年11月1日 17時

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